来季からカープのコーチ就任が発表され、大きな反響を呼んだ新井良太コーチ。新井貴浩監督の実弟として、2014年以来、8年ぶりに同じユニホームに袖を通すことになる。

 阪神での指導歴も持つ新井コーチが、選手とのコミュニケーションで心掛けていること、そして、兄・新井貴浩監督への思いを語った。

2022年10月、マツダスタジアムで行われたコーチ就任会見の様子。

◆バッティングはデリケート。思ったことを軽々しく言うのはナンセンス

─11月8日から秋季キャンプに参加され、本格的にチームをご覧になられて雰囲気はいかがでしたか?

「まず、藤井(彰人)ヘッドコーチとも話したのですが、一心不乱にバットを振り、追い込む、抜かないというのは、ものすごく衝撃的でした。また、堂林(翔太)、野間(峻祥)、坂倉(将吾)など一軍クラスの選手がそれを率先してやっているので、やはりこれが昔からの良い伝統なのだろうと感じましたね」

─今回の秋季キャンプではどのような指導方針、狙いで入られたのでしょうか?

「秋季キャンプは量も追い込まないといけませんが、技術、コツをつかむために非常に重要な時期です。選手たちに何かコツや、オフの間に“再現性を深めて臨んでやろう”と思わせられるようにと思ってこの秋季キャンプに臨みました。選手たちも、質問にきてくれて、僕の考え方は伝えさせてもらいました。選手のリアクションを見る限り、理解してくれている表情が垣間見えたので、少しはきっかけや、コツを与えたいという思いは伝わったかと思います」

─積極的にコミュニケーションを取ることを意識されていたのでしょうか?

「信頼関係はすぐに築けるものではありませんが、それを築いていくために、選手はどういう人間で、僕はこういう人間だよと伝える、このコミュニケーションは必要であり、すごく良い時間だったと思います」

─新井監督が11月13日から秋季キャンプに参加され、円陣を組んで訓示を語られました。新井コーチはどのように感じられましたか?

「“好き嫌いで選手起用はしない”というコメントもそうですし、家族だからみんなで頑張りたい、みんなに期待しているということを言われていましたが、選手だったら否が応でもモチベーションが上がるだろうと思いました。またそれはフロントや僕らコーチに対しても言われている言葉だと思うので、肝に命じて、寄り添い、共に苦しいことも乗り越えようと改めて思いました」

─堂林選手を指導する際、監督と新井コーチと3人での場面がありました。

「少しストレスを感じている顔をしていたので、会話をしている中で、『お前の良いところはこういうところなんじゃないの?』と話していたら、監督も『そうだろう』という感じで3人の時間になったという感じですね」

2013年2月の阪神時代、沖縄キャンプで海をバックに拳を合わせる兄・新井貴浩監督と、新井良太コーチ

─新井コーチにとって、“新井貴浩監督”とはどんな“野球人”でしょうか?

「実績とか経験とか、スーパースターですし、残されたものもすごい。人を惹きつける魅力や、バランス感覚など、そういうものを全部兼ね備えていると思います」

─それでは“一人の人間”としての“新井貴浩”はどんな方ですか?

「……最高でしょう! 控えめに言って、最高ですね。最高の兄ですし、最高の男、僕の1番の味方で、兄の1番の味方は僕だと思っています。伝わりましたでしょうか?(笑)」

─それでは最後にカープファンのみなさんに向けて、コーチとしての意気込み、そしてメッセージをお願いします。

「まずは、選手のため、そしてカープのために全力を尽くさせていただきます。その一言に尽きます。身を粉にして働きます。 みなさまどうぞよろしくお願いします! 」

広島アスリートマガジン1月号は、新井新監督特集第3弾『新井貴浩監督の“全力”所信表明』!新監督を支える選手・コーチ陣インタビューも必見です。