日本屈指の3Pシューターとして、バスケットボール界を牽引してきた朝山正悟選手。一つのシュートに魅了され、そして突き詰めてきたスペシャリストが見る景色、そして思考。彼が語る現代のバスケットボールにおいての3Pシュートの重要性から、これからのバスケットボールのカタチが見えてきた。

これからは「バスケットが好きだという気持ちを大切にしながら、たくさんのことを伝えていきたい」と朝山正悟は語る。

3Pシュートは絶対に日本の武器になる

(取材は2023年4月26日)—ヘッドコーチ(HC)の経験のある朝山選手からみて、首脳陣からの3Pシューターの存在とは?

 「時代によってバスケットが変わっていくなかで、3Pシュートは本当に重要視されています。今では勝つためになくてはならないピースだと思います。よって3Pシューターがより打てるチャンスをつくる戦略が、これからさらに注目されてくると思います。

 以前から話していることですが、日本代表のバスケットチームが世界と互角に戦うには、3Pシュートが絶対に必要なのです。日本人がフィジカルで劣ってしまうのは仕方のないこと。だから3Pシュートはそれをカバーすることができる大きな武器で、精密さや器用さが求められる3Pシュートは日本人に向いていると思います。

 この武器をもっと高めていくことができれば、もっと日本から世界へ選手たちが出ることもできるようになるし、チームとしても世界と互角に戦えるようになるはずです。僕は将来指導者になりたいという思いがありますので、そのなかで本当に突き詰めていきたいと考えている武器なのです」

—チームとしての武器だけでなく、日本の武器ということですか?

 「絶対にそうですね、そこは声を大にして言いたいです。それに日本人の持つ和の部分、何か一つの目標に対して、人の気持ちを汲み取りながらみんなで突き進んでいく、つくり上げていくという姿勢は、世界と比べても特化していると思います。個の能力の先にある、みんなで戦い打ち勝っていくという部分は、もう一つの大きな武器ですよ。

 僕もいい年齢なので、日々バスケットができているという感謝の気持ちと、みんなに支えられているという気持ち、自分ができることは一体なんなのか、そういったことをより感じるようになりました。若い時は上手くなりたい、勝ちたいといった、自分だけにフォーカスしていたものが、年齢を重ねることで、より周りに対してフォーカスするようになりました。

 どうやったら広島にもっとバスケットが根付くのか、これから子供たちが目指すバスケットボールはどうあるべきなのか、そのために自分ができることはなんだろうか、目に見えるもの、見えないものがたくさんあると思います。そういったことを、自分自身が楽しみながらやりたいと思っています。

 僕はバスケットが好きで、バスケットにこれだけ育ててもらって、いろんなことを学んできました。今度はそれを後輩たち、子どもたちに伝えていきたいです。バスケットが好きだという気持ちを大切にしながら、たくさんのことを伝えていきたいなと考えています」

—将来の日本を支える3Pシューターの育成や、バスケットの魅力を子どもたちに伝えるという大切な役割がこれからの朝山選手にはありますね。
 最後にCS向けて、そしてブースターへのメッセージをお願いします。

 「なにが起きるか分からないCSは、アウェイでの戦いになります。まずはしっかりと準備をして、チャレンジ精神を持って一戦ずつしっかりと戦っていくことが大切です。優勝という目標はありますが、試合では目の前の一戦一投一球に全てをかけていく、そういった気持ちを持って、チーム一丸でみんなが同じ方向を向いて戦っていきます。

 上位8チームの差は、そんなに大きいものではないと思っていますが、ホームの声援を受けられないので、どうしても不利な部分はあります。でも自分たちがしっかりと戦えば大丈夫だと思っていますし、そうすれば目標である頂きが見えてくると思います。

 僕にとって、ブースターのみなさんの熱い思いが全てです。みなさんの思いが僕のモチベーションそのものになっていますので、一緒に戦っていただき、最後笑い合えたらと思っています」

「広島アスリートマガジン」6月号は、「彼らがスペシャリストの理由。」チームを支えるスペシャリストたちの素顔と勝利への想いをお届けします!カープ・西川龍馬選手、戸根千明選手の独占インタビュー、そして広島ドラゴンフライズ・朝山正悟選手のインタビューもお見逃しなく。