連覇を目指したルヴァン杯ではまさかのグループステージ敗退となるなど、苦しい試合が続いたサンフレッチェ。リーグ戦上位進出・天皇杯突破に向け、昨シーズン同様、夏場での浮上にも期待が集まっている。

 ここではサンフレッチェOB・吉田安孝氏に、試合のキーマンとなる選手、印象に残ったゴールを熱く語ってもらった。

(データは全て6月6日の取材時点のもの)

スタメン機会を増やしている茶島雄介。

◆『これぞプロフェッショナル』! ベテラン勢が試合を引き締める

 5月のサンフレッチェは、苦しい戦いが続きました。連戦の疲れもあり、足踏みをしてしまった印象があります。そんななかでも、6月初戦となった京都戦(6月4日、◯3ー1)は素晴らしい試合だったと思います。

 あの試合は、2得点をあげた茶島雄介はもちろんのこと、ベテラン勢の力が光った一戦でもありました。

 後半の早い時間帯で先制したものの、一度は相手に追いつかれてしまいます。しかしその直後、左サイドからのボールに右ウイングバックの茶島がちょうど良いところに詰めていたことで、勝ち越しのゴールを奪うことができました。茶島が少しでも遅れていたら、あのゴールは生まれていなかったでしょう。広島というチームが掲げている『前線からの守備』というスタイルの大切さを、改めて感じさせてくれる試合になったのではないかと思います。

 神戸戦(5月13日、●2ー0)、名古屋戦(5月20日、●2ー1)では複数失点で連敗したこともあってか、湘南戦(5月27日、◯1ー0)からはメンバーを入れ替え、それまでなかなか試合に絡んでいなかった経験豊富な選手を積極的に起用していました。湘南戦では茶島、柏好文がスタメンで出場し、途中からは柴﨑晃誠、青山敏弘も投入されています。そうした選手たちがチームをぐっと引っ張ってくれた結果、連敗を止めることができたのではないかと感じました。

 若い選手が台頭するなかでも、ベテランたちが日々のトレーニングからしっかり準備をしていたからこそ手にすることができた、貴重な勝点だったと思います。『本当のプロフェッショナルを見た』。そんな思いを抱かせてくれる2試合だったのではないでしょうか。

 京都戦で活躍した茶島も、ケガに苦しんだり、なかなか出場機会を得ることができないなど、苦労人の一面もあります。

 そんな選手たちが腐ることなく、出場した試合でしっかりと結果を残しています。これは、いかに日々のトレーニングを大切にしているかということの現れだとも思います。全ての選手が年齢やキャリアに関係なく、一人のプレーヤーとしてうまくなりたいという強い思いを持っている。それが全てだといえるでしょう。