チャンピオンシップ初出場を決めた2022-23シーズン。創設からわずか9シーズン、あと少しで頂点に手が届くところまで昇り詰めた。これだけの短期間で強くなり、数々の記録を残してきた広島ドラゴンフライズを経営する広島ドラゴンフライズ取締役社長・浦 伸嘉。彼の思い描く広島らしさ溢れるチームづくりとは!?

「広島にはプロスポーツを観戦する文化がある」と、浦社長は語る。

先人がいるからこそ、広島でチームづくりができる

「振り返ってみると、本当に厳しい状況を乗り越えて、ようやく9年目となりました。やっと皆さんから応援していただけるような立ち位置に来ることができたということは、非常にうれしく感じています。やはり広島の地だからこそ、ここまで短期間で成長できたのかなという、広島への感謝の気持ちでいっぱいです。
 カープやサンフレッチェというプロスポーツクラブの先輩方がおられて、これまでの歴史のなかで、広島を盛り上げてきていただいたからこそだとも思います。広島に『お金を払ってスポーツを観戦する』という文化、土壌ができているからこそ、私たちもここまで来ることができたんだと感じています」

—カープやサンフレッチェといったプロスポーツの試合を、お金を払って観戦する。たしかに、地元にプロスポーツチームがあるのは大きな要因かもしれません。

 「まだ正確な数字は出ていないのですが、今シーズン、広島ドラゴンフライズのチケット売り上げはBリーグの中でも常に上位でした。他のクラブさんの中には、無料で観戦に招待したり、チケットをかなりディスカウントしているところもあります。
 でも広島のみなさんは、自らチケットを買って多くの方が応援をしに来てくれます。やはり、プロスポーツを生で観戦するということの価値が、身に付いているのだと思います」

 

—プロスポーツ観戦が、広島の文化の一つになっているということですね。

 「スポーツによる感動体験の価値の高さを、カープやサンフレッチェを通して広島の方々が知っているというのは、新しくプロチームを運営していくうえで大きなアドバンテージだと僕は思います。そんな広島という場所で、紆余曲折しながらもコツコツやってきたことが、ようやく形になってきたと感じるようになりました」

—チームとしていろんな取り組をみされていると思いますが、創設時から変わらずに守り続けているコンセプト、これからも守り続けていきたいことは?

 「僕も広島出身なのですが、やはり広島らしさを大切にするということは、チーム創設時から変わっていません。クラブの理念に『HIROSHIMA PRIDE』という言葉を掲げさせていただいているのですが、今までもこれからもその一言に集約されると考えています。
 広島が持つ歴史的背景はもちろん、生活の中にプロスポーツがある文化、そういった地で広島だからこそできるクラブチームをつくり出すことが、本当に大切なことだと思います」

⚫️浦 伸嘉うら・のぶよし)/1980年10月1日生、広島県出身。美鈴が丘高-大阪商大-新潟アルビレックスBB-A2(2003-04)-新潟アルビレックスBB(2005-06)- 福岡BBボーイズ(2006-07)。2004年に広島県代表として国体選手に出場し、翌年のbjリーグ開幕とともに新潟アルビレックスBBへ昇格。PG(ポイントガード)として新潟、福岡などで活躍した。2007年に引退し、2016年から広島ドラゴンフライズの社長を務めている。

「広島アスリートマガジン」7月号の特集は「記憶力。 Power Of Records」。数々の記録に隠された選手たちの想いをお届けします! カープ・秋山翔吾選手、廣瀬 純コーチの独占インタビュー。そして広島ドラゴンフライズ浦 伸嘉社長のインタビューもお見逃しなく。