開幕から「8番・ショート」で全試合出場を続けるカープ田中広輔が、攻守に安定したプレーを見せ続けている。

 開幕戦から2安打をマークして幸先の良いスタートを切ると、6月24日の巨人戦(東京ドーム)では昨季6月5日以来となる復帰後初アーチ、6月28日の中日戦では2号3ランを含む今季初の猛打賞を記録。下位打線の中で効果的な働きを見せ続け、守備面でも手術明けとは感じさせないプレーを展開している。

今季からカープの選手会長に就任した田中広輔選手

 プロ6年目の昨シーズン、田中はプロ入り初の大スランプに陥った。

 春先から打撃不振が続き、不動のリードオフマンとして強力打線を牽引してきた男が、出口の見えない長いトンネルにはまり込んでいた。初夏を迎えても調子が上向くことはなく、6月20日のオリックス戦で15年4月1日から続いていたフルイニング連続試合出場記録がストップした。

 以降は1番や8番での単発出場が増え、8月22日には出場選手登録を抹消。田中の二軍降格はフリー打撃の打球が頭部を直撃した、ルーキーイヤーの2014年9月19日以来のことだった。後に故障が判明するとはいえ、不振を理由にしての降格は、まさにチームとしても想定外の出来事だった。

「悔しい思いをしたことで、『今まで順調にきていたんだな』ということを改めて感じさせられましたし、そう思うと同時に『そんなに甘くない世界だ』ということを再認識させられた、そういうシーズンでしたね。今までもいろんなことに気を付けながら、野球中心で送っていた生活だと自分では思っていました。ですが、まだまだ足りないなと。そういうふうに感じさせられた部分がありました」