11月8日から開幕した第48回社会人野球日本選手権大会(以下、日本選手権)。都市対抗野球に並び、社会人野球の2大大会の一つとされる本大会に創部6年目にして初出場を決めたエイジェック硬式野球部は、11月11日にJFE西日本と初戦を迎える。
本短期連載では初出場を果たしたエイジェック硬式野球部の選手たちの独占インタビューを掲載。最終回はエイジェック硬式野球部で指揮を取る難波貴司監督にチームについて聞いた。
◆“日本一”の目標に挑戦することができる
―今シーズンを振り返り、チームをどのように見ていますか。
「春先のスポニチ大会では3連敗、日立市長杯では1勝2敗を喫する悔しい結果から始まりました。そのあとは都市対抗予選でいかに勝ち抜くかというところでしたが、勝ちきれない結果となりました。“日本一”という目標を掲げているチームなのに不甲斐ないというのが前半の印象です」
―そういうチーム状況の中で選手たちにどんなことを伝えていたのですか?
「試合の流れを感じ、大事にすること。守備で簡単なミスはしないこと。相手の嫌がることをすること。の3つを口を酸っぱくして選手たちへ伝えていました。しつこく言い続けただけあって、浸透してきた印象があります。ウチは先攻逃げ切りのチームではなく、中盤や終盤のワンチャンスをどうつくるのか、どう点を獲るのかというチームなので、こういうところは大切だと思っています」
―今季は社会人チームとして異例と言われる選手48名体制でのスタートとなりました。
「会社の理解もあってこのような編成をさせていただきました。2チーム制を敷くことでチーム内競争を活発にしたいと考えてのことでしたが、ここまでその点はうまくいっていると思います」
―大所帯になったシーズンに、在籍3年目と若い京橋幸多郎選手を主将に任命されました。
「コミュニケーション能力に長けているところを買って、京橋に打診をしました。彼自身キャプテンシーがあり、人数が多くなっても円滑に回してくれると思っていました。実際、2チーム制になってから個別でのミーティングを開くなど、チームの士気を上げてくれています。選手としての成長はもちろんですが、主将としても成長してくれています」
―2チーム制になり、特にこの競争の中でアピールしてきた選手はいますか?
「ここ最近であれば1年目の外野手・宮脇(大地)ですね。公式戦では前半はベンチ入りもしていなかったのですが、競争を勝ち抜き、出場する機会を得るとオープン戦で良い結果を残しています。入部当初は内気といいますか、自信がなさそうな印象でしたが、すごく変わったと思います」
―人間的な成長が野球にも現れてきているのですね。
「まさしくそうです。挨拶や返事にも変化が見えますし、朝の掃除も1番最初にしています。生活面が整うと他にも良い影響があるというのは一般的にもよく言われますが、本当にそうだと思います」
―その他、注目してほしい選手はいますか?
「既存選手も主将の京橋を含め注目選手はたくさんいますが、あえて新加入メンバーを上げるならば、投手は河北(将太)、野手は内田(靖人)です。河北は都市対抗野球の補強選手(SUBARU)として参加させてもらってから、一皮剥けた印象です。ウチの先発の柱の1人になってくれていますし、京セラドームでも良い投球をしてほしい投手です。内田は言わずもがな主砲ですので、勝負強い一打はぜひ注目してほしいです」
―内田選手は春先の公式戦から打撃面での活躍が目立ちます。
「今までウチにいなかった長距離砲が1人入ったという点は大きいです。あとは彼がいることで、他の選手のマークが甘くなる効果もあります。また、今は中軸に大学時代4番を打っていた吉田(元登)が座っていて、どちらでも点が取れるという攻撃のバリエーションが増えたのはとても良い効果だと感じています」
―元NPBプレーヤーが加わるとチームに与える影響は大きいと感じますか?
「ウチにはNPB出身選手が3人いるのですが、本当に貴重な存在です。もちろん実力面もそうですが、野球に対しての姿勢など伝えられる引き出しが多いので、選手にとっても刺激になると思います。高野(圭佑)も投手間でさまざまな話をしてくれているようですし、内田はなんと言っても合流してからチームに打ち解けるのが早くて『うっちーさん!』と若手からも慕われています。経験あるメンバーと若手が良い状態で合わさり、日々の練習に取り組んでくれると1日の濃度が高くなり、他のチームより実りのある時間を過ごせると思います」
―最後に初の日本選手権出場に向けた意気込みをお願いします。
「今年1年間“日本一”の目標を掲げてきました。都市対抗野球大会では叶いませんでしたが、日本選手権でこの目標に挑戦することができます。エイジェックはまだまだ若いチームですが、その若さを武器に精一杯のプレーとご来場いただいたみなさんに感動してもらえる試合をお届けします。スタンドからのご声援が後押しになります。グラウンドとスタンドが一体となり勝ち進みたいと思いますのでご声援のほどよろしくお願いします」