終盤の猛反撃に耐え、勝利した川崎戦。この白星はチームに自信をもたらした。

7月31日の川崎戦(○3ー2)、そして中2日で迎えた8月3日の札幌戦(○1ー0)の2試合を振り返っていきます。まず川崎戦は城福監督が試合後の会見で語った通り、『75分まではパーフェクトなゲーム』でした。

現在の川崎はJリーグの中でも屈指の実力を持つチーム。そのチームを圧倒する内容で勝ち点を奪うことができたのは高く評価できます。最後の15分で2点を失い川崎の底力を見せつけられたことで、試合終了直前に同点に追いつかれた前節の松本山雅戦(△2ー2)のことが選手たちの頭をよぎったのではないでしょうか。

結果的に試合終了のホイッスルが鳴った瞬間にピッチに立っていた両軍の選手たちが精根尽き果てた様子を見せるほどの厳しい戦いで勝利を得たことは非常に大きかったと思います。

次節の札幌戦は中2日ということもあり、相当苦しい戦いを強いられると思っていましたが、運動量は決して負けていませんでした。
ここで前節の川崎戦に辛くも勝ち切ったということが選手たちのメンタル面に好影響を与えていたはずです。前半戦こそ攻め込まれるシーンも多くありましたが、こうした試合で勝ち切ることができたことが、サンフレッチェにとって良い風が吹いていることの現れです。

この札幌戦で素晴らしい動きを見せていたのが、決勝点を挙げた稲垣です。

元々運動量が豊富な選手ですが、札幌戦では難しいコンディションながら中盤の厳しいチェック、そして機を見た攻撃参加と信じられないスタミナを発揮していました。
派手なプレーをする選手ではないだけに、注目される機会も少ないかもしれませんが、チームに必要不可欠な選手でしょう。



(広島アスリートマガジン2019年9月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 吉田安孝(よしだ やすたか)
1966年11月22日生。広島県出身。元サンフレッチェDF。現在は広島テレビ「進め! スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。