多くのプロ野球選手を輩出した広陵高から、新たに一人のカープ選手が誕生した。広陵高時代は同学年の河野佳(2022年・カープドラフト5位)と共に切磋琢磨してきた。一足先にプロ入りを果たしたチームメートの姿に刺激を受けながら、高太一はドラフト2位という高い評価をつかみ取った。『カープファンに、長く愛される選手』を目指し、プロの道を歩み始めた高の思いに迫った。(取材は3月10日)

オープン戦でマツダスタジアムに凱旋登板を果たした高太一。先発投手としてマウンドに上がった。

プロの世界は本当にレベルが高い。今は何とか食らいついていきたい。

ープロの世界に入って約2カ月が経過し、春季キャンプ、オープン戦を経験してきました。率直に、プロの世界を体験してみてどのように感じていますか。

「プロの世界は、本当にレベルが高いと思います。想像していたよりもかなりハイレベルだったというのが、正直な印象でした。ただ、レベルが高いのはわかっていたことでもあるので、今は、何とか食らいついていきたいと思っています。ピッチングの面では、自分の真っ直ぐはプロの世界ではなかなか通用しないのではないかという思いもあったのですが、自分の球をしっかり投げ込むことができれば、思ったよりも相手打者を差し込めるという手応えも感じています」

ー実際にチームに帯同して先輩選手のプレーを見た中で、特に印象的だった選手は誰ですか。

「先輩方はとにかく『すごい』の一言です。本当にすごい選手ばかりなのですが、なかでも名前をあげるとすれば、塹江敦哉投手が印象的でした。側で見ていても、球の速さが全然違うなと感じました」

ー3月8日のオープン戦(中日)では、高校時代を過ごした広島・マツダスタジアムでの『凱旋登板』を果たしました。たくさんのファンが入ったなかで、どのような思いでマウンドに立ちましたか。

「ファンのみなさんには、マウンドに上がるときも、ずっと自分の名前をコールしてもらって、それがすごく力になりました。これまでは、グラウンド全体から応援を受けるという状況にあまり慣れていなかったので『マツダスタジアムはこういう感じなんだな、すごいな』と感動しました」

ー初めてのマウンドでは、どのような課題や手応えを感じましたか?

「中日戦に限らず、ここまではずっと、自分らしさが出し切れていないという思いがあります。『結果は悪かったけど、それは実力を出し切った上で通用しなかった』のではなく、とにかく気持ちが逸ってしまって、自分で自分の首を締めてしまったと感じる部分がありました。結果が良かった登板であっても、やっぱり『いまいち出しきれなかった』と感じる部分はずっとあります」

高太一(たか・たいち)
2001年7月26日生、愛媛県出身
左投左打/投手
広陵高ー大阪商業大ー広島(2023年ドラフト2位)