思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。

 今回は、連日雨天で登板機会を逃していた、ハッチ投手についてを、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

ハッチの雨男にちなんだグッズのイメージ(イラスト・オギリマサホ) 

◆受け継がれる『雨男Tシャツ』がハッチのもとに⁉️

「やっと見られた」という思いである。5月23日、マツダスタジアムでの阪神戦でマウンドに上がる新外国人、トーマス・ハッチを見ての感想だ。

 今シーズン、カープは既に5回の雨天中止に見舞われているが、そのうち4月24日(神宮)、5月6日(甲子園)、5月12日(マツダ)の3試合の予告先発がハッチであった。更には調整登板する予定だった5月16日の二軍戦まで雨天中止となり、ハッチは登板予定の4試合が連続で雨天中止となったわけだ。23日の登板は実に1カ月ぶりとなり、これはもう『雨男』と言わざるを得ないのではないだろうか。

 残り2つの雨天中止はいずれも大瀬良大地なので、こちらも雨男疑惑がかけられそうなものだが、ハッチの『4試合連続』『神宮・甲子園・マツダと、ありとあらゆる屋外球場で中止』というインパクトの前には霞んでしまう。

 野球界では、たびたび『雨男』が話題となる。特に屋外球場を本拠地とする球団では、それが顕著だ。『雨男』を襲名するのは、たいてい登板予定が流れた先発投手である(野手や中継ぎ投手はそもそも出場試合数が多いので、もし雨男がいたとしてもわかりづらい)。

 カープで『雨男』と言って思い出されるのは、やはりマエケンこと前田健太(現・デトロイト・タイガース)ではないだろうか。プロ入り2年目、一軍で頭角を現しつつあった2008年に登板予定が雨で飛び続けたのをはじめとして、2013年には3試合、2014年には4試合も雨天中止に見舞われ、ついにはグラブにてるてる坊主を刺繍するまでになった。この刺繍のおかげか、翌2015年には雨男を脱したマエケンだが、今度はクリス・ジョンソンに『雨男』がうつり、この年に4試合の雨天中止、ノーゲームに見舞われてしまったのである。

 その後は、2018年に先発予定が3度流れた九里亜蓮が『雨男』を襲名し、今回のハッチに至るわけだ。これは選手本人も自覚しているようで、マエケンがつくった『雨男Tシャツ』が、ジョンソン、九里を経て、先日ハッチに手渡されたとのことである。

 むろん選手にとっては『雨男』と呼ばれるのは喜ばしいことではないだろう。自分のせいで試合が中止になった、と思われるのは不本意だろうからだ。過去『雨男』と呼ばれた選手たちは、なんとかそれを回避しようと努力してきたように思われる。しかし一方で、それを逆手に取ろうとする動きもみられている。

 たとえば、『雨柳さん』というあだ名が付けられるほどの『雨男』で知られる阪神の青柳晃洋は、同じく登板時に雨の多い大竹耕太郎とともに『雨男』『晴男』グッズを発売するまでになった。カープでも、23日の試合でのハッチの登場曲が、誰の仕業かは分からないが、ASKAの『はじまりはいつも雨』に設定された。こうなったら『雨男』を楽しんでやろう、という姿勢が見て取れる。

 23日は敗戦投手となったものの、5回を投げて1失点、7奪三振と明るい兆しの見えたハッチ。登板予定が流れてしまうのは避けたいものの、今後『雨男』を売りにして、一層の活躍をしてくれることを期待している。