いよいよ8月9日に開幕する夏の甲子園。2年ぶりに球児たちの熱い夏が戻ってきた。何物にも代えがたい濃密な3年間から、球児たちは何を学び、何を得るのか。カープ選手の高校時代を、彼らの当時のエピソードと共に紹介していく。
◆2009年夏:悔しさと共に達成した悲願の全国制覇
語り継がれる2009年、中京大中京高対日本文理高の決勝戦。堂林翔太はエースで4番として決勝進出に貢献した。
この日、9回2死まで中京大中京高が6点リード。勝敗が決したように思われたが、あと1人のところから日本文理高の猛追がスタートした。優勝投手を目指し力投を続けた堂林だがあえなく途中降板。最後は1点差まで詰め寄られ、外野で全国制覇の瞬間を迎えることになった。
「一番は、一球の怖さというものを学びましたね。野球は試合終了まで何が起こるか分かりません。それを改めて感じた試合でした」
最後まで投げきれなかった悔しさから試合後に涙を流した堂林。その涙は、高校野球の一発勝負の怖さと醍醐味を教えてくれた。
◆2008年夏:7点差をひっくり返して甲子園出場
中田廉は広陵高3年時、背番号3の投手兼一塁手として活躍した。中田が今でも忘れられないと話すのは広島大会の決勝戦。7点差から逆転して甲子園出場を決めた試合だ。
「半分諦めムードにもなりましたがそこから逆転。これぞ高校野球という試合だったと思います」
甲子園では2試合に登板。その大会では最速となる148キロを記録するなど、投手として大器の片鱗を見せた。
「人間的な成長を求めないと野球の技術は成長しないと中井監督から何度も言われてきました。挨拶、寮生活、生活態度を含めて、人としてすごく成長させてもらえた時間でした。甲子園に行ったことも大切な思い出ですが、それ以上のことを学んだ3年間でしたね」