中村奨成がウエスタン・リーグで猛アピールを続けている。7月19日の時点で出塁率はリーグトップ(.422)で、首位打者(打率.366)の座をキープ。プロ3年目で初の一軍春季キャンプ帯同の切符をつかんだ男が、初の一軍昇格を目指し日々、奮闘中だ。

 カープの中でも最激戦区とも言えるポジションだけに、昇格を果たすには現在の好調をキープすることが絶対条件となるだろう。ここでは今季を「ラストチャンス」と位置付ける、期待のドラ1捕手のシーズン前の決意を振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2020年2月号掲載)

春季キャンプで一心不乱にバットを振り込んだ中村奨成選手。

─ プロ2年目の19年は、中村奨成選手にとってどんな1年でしたか?
 「キャンプのケガから始まって、あまりプレーができませんでしたし非常に悔しいシーズンでした。実際プレーできたのは、シーズンの半分ぐらいだったので。1年があっという間でしたね。リハビリの期間はすごく長く感じたんですが、いざシーズン途中から試合をやって、フェニックス・リーズに参加してみると、本当に毎日があっという間に過ぎてしまいましたね」

─ その時期に一軍の試合は見られていましたか?
 「3、4月ぐらいから一軍の試合を見て、レポートを提出するように倉(義和・現一軍バッテリーコーチ)さんから言われて、自分なりに感じたことをまとめて持っていくようになりました。もちろんそれより前も見ていないわけではありませんでしたが、そういった課題を出されてから目的を持って見るようになりました」

─ 一軍の試合を見て勉強になった部分はありましたか?
 「たくさんありましたね。アツさん(會澤翼)、石原さん(慶幸)、イソさん(磯村嘉孝)と3人とも違うリードをしていましたし、自分がそれまでにしていたリードと比べると、自分の未熟さがよく分かりました」

─ ポジションは違いますが、同期の山口翔投手や遠藤淳志投手が一軍デビューを果たしましたが、どのような思いで見ていましたか?
 「同期ですからうれしい反面、正直先を越されてしまったという悔しさもありました。特に焦りとかそういう感じではありませんでしたが……悔しさが一番ですね」