Jリーグデビューの2023シーズンから30試合以上に出場し、いまや広島が誇る万能型DFとなった中野就斗。CB、WBとポジションを選ばず活躍を見せる中野が語った、飛躍の裏に隠されたエピソードを紹介する。(全3回/第3回)

今季もチームに欠かせない存在の中野

◆ヘッドコーチとのミーティングで身につけた視野

—オフの日にどこかに出かけたりする機会も減っているのではないですか。

 「出かけるとしてもサウナや食事に行くくらいで、ゆっくりしています。なるべく部屋にいたくないアウトドア派なので、本当はいろいろ出かけたいんですよ。ドライブも好きなのですが、すぐに次の試合があることを考えたら、そういうわけにもいかないです」

—試合の間隔が短いと、映像を見て自分のプレーを振り返る時間も限られますね。

 「そうですね。ただ1年目は、迫井(深也)ヘッドコーチと一緒に映像を見ながら振り返るミーティングを、よくやっていました。自分で気付いた点を踏まえて、迫井ヘッドコーチが感じたことを話してくれるのですが、迫井ヘッドコーチは自分が思っている以上のところまで目を向けて試合を見ています。ここまで気を配らなければいけないのか、といったポイントを1年目に知ることができたのが、その後の成長につながっていると思います」

—同期の山﨑大地選手が昨季序盤の負傷で長く離脱していましたが、今季は復帰して控えメンバーに入っています。早く試合で一緒にプレーしたいのではないですか。

 「山﨑選手の悔しい気持ちは昨季ずっと感じていたので、復帰は本当にうれしいです。彼も能力が高くて試合に出る力があるので、一緒にピッチに立ってサンフレッチェを引っ張っていきたいですし、お互い刺激し合って、より高みを目指していきたいです」

—ホームスタジアムのエディオンピースウイング広島が開場2年目を迎えました。

 「最高の一言です。サポーターのみなさんとともに戦うことができるスタジアムで、だからこそホームでは絶対に負けてはいけません。昨季は負けも多かったので(ホームでは12勝3分4敗)、今季はホームでもっと多く勝って、みなさんと一緒に勝利を喜びたいです」

—最後に、ファン・サポーターのみなさんへのメッセージをお願いします。

 「昨季は自分たち選手や監督・スタッフだけでなく、ファン・サポーターのみなさんも同じように悔しい思いをしたはずです。あの悔しさは優勝することでしか晴らせません。だからこそ自分たちは1試合1試合、全力で戦って勝利を目指します。一緒に戦ってください!」

■中野就斗(なかの・しゅうと)
2000年6月27日、東京都出身/ポジション:DF
桐蔭横浜大ー広島(2023〜)
全日本大学サッカー選手権大会でチームを優勝に導き、インカレベストDFを受賞するなど大学時代から活躍。2023年に広島に加入すると1年目から出場機会をつかみ、瞬く間にチームに欠かせない戦力となった。 『#中野たまらん』のハッシュタグに見られる通り、巧みな足技はもちろん、CB、WBなど複数ポジションをこなせるユーティリティー性も持ち味。