昨季は勝負強さを買われ4番に抜擢されるなど、今やカープ打線に欠かせない選手となった小園海斗。優勝を目指す上で、彼の活躍は必要不可欠だ。新背番号『5』を背負って臨む小園の思いに迫る。(全3回/第1回)

カープ打線の中心としてさらなる期待のかかるシーズンとなる小園

カープの顔となった2024年。一定の手応えも、納得はしていない

 2024年シーズン、カープ打線はチーム打率、本塁打がリーグ最下位と深刻な得点力不足に陥った。夏場まで投手力で踏ん張りを見せたものの、優勝が見えていた9月に失速。2年ぶりのBクラスとなる4位に終わった。貧打に喘いだ打線において、孤軍奮闘の活躍を見せたのが若き主軸・小園海斗だ。自身初となる全143試合スタメン出場を果たし、得点圏打率・341を記録。チームトップの61打点をマークするなどバットで結果を残した。

「積極的な意識は変えたくないなと思っています。これまでは上位を打つことが多かったので、最初は驚きました」

 シーズン序盤は3番を任され春先から好調を維持し、超積極打法で5月には月間MVPを獲得。中盤からは勝負強さを買われて4番に抜擢された。143試合中、142試合で中軸(3番〜5番)を務めるなど打線を引っ張り、カープ打線に欠かせない存在へと成長した。

 シーズンオフの11月に行われた第3回WBSCプレミア12では野球日本代表『侍ジャパン』に選出された。代表初選出選手が多いフレッシュなメンバーの中で、小園は主軸として活躍。大会通算で打率・387、12安打、2本塁打をマークするなど、準優勝に大きく貢献。本職ではないセカンドとして大会ベストナインにも輝いた。

「昨シーズンの成績が自信になっているところもありますが、まだまだかなと思います。もちろん、いろんなことを経験できましたし、いろんなことがあるので。また今シーズンも何が起こるかわからないですし、良い準備ができるようにという思いがありますね。代表とチームとは別物かなと思っていますし、そんなに気にしてはいないですね。もちろん何とも思っていないことはないですけど、全然納得はいっていないですし、やっぱりそういう活躍がシーズンでできれば良いなと思います」

 打撃面においてはチームトップクラスの貢献度を誇り、代表でも大活躍。それでもシーズンが4位に終わったことで、まったく納得はしていない。しかしチームからの評価は高く、背番号は入団時から背負った51番から、一桁番号である5番に変更が決まった。かつて、4番として活躍した栗原健太、西川龍馬などカープ打線の中心を担った打者が背負ってきた背番号だ。

「特に背番号どうこうで僕はあまり変わらないので、そこまで気にはしていないですね。ただ、5番になっているので、サインを書いたりするときや、僕の5番のタオルを掲げていただいているところを球場で見たときに『背番号が変わったんだな』という思いはありますね(笑)」

 小園自身はそう語るが、背番号の一桁変更は選手にとって出世の証。カープの顔として、確実に成長の跡を見せたシーズンだった。

(第2回へ続く)