思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回スポットを当てたのは、デイゲームで選手の目の下についている「アイブラック」。思わず見てしまう“黒い印”を、オギリマ視点でゆる~く取り上げる!
◆コンディションをはかるバロメーター? 屋外球場ならではの注目ポイント
デーゲームの際に、眩しさを軽減する目的で目の下に付けられる黒いアレ、『アイブラック』。1980年代から散見されていたが、最近になって、どの球団にもアイブラック選手が増えてきたように思う。大リーグの影響だろうか。
カープも例外ではない。本拠地が屋外球場であることも、アイブラック採用率向上に一役買っていると思われる。
アイブラックには大きく分けて、逆三角形や角丸長方形のステッカータイプと、ペイントタイプがある。ステッカータイプは形が決まっているため、どの選手を見てもさほど大きな違いはない。ところがペイントタイプは自ら描くことから、その形は個性に溢れ、ともするとエスカレートしがちだ。
島内宏明(楽天)や栗原陵矢(ソフトバンク)ら、顔に〇×や星形などのアイブラックをペイントする選手はそのいい例だろう。ハーパー(フィリーズ)やタティスJr.(パドレス)など、特徴的なペイントを施す大リーガー達に倣ってのことかも知れないが、そのアイブラックは個性的で大変目立っている。そして現在のカープでこの「目立つアイブラック」の筆頭に挙げられるのが、小園海斗ではないだろうか。
小園の独創的アイブラックは、昨年からその片鱗を見せ始めていた。十字や鳥の羽根のように大きく垂れ下がった形、時にはハートマークという日もあった。本人は「先輩がして下さっている」と語ったということで、小園本人の意向ではなかった可能性もあるが、周囲の人々に「小園=アイブラック」という強烈なイメージを残したのである。
それは2022年3月15日、ロッテとのオープン戦の際に投稿された、カープ公式インスタグラムの記事を見てもわかる。末包昇大や大盛穂の顔にステッカータイプのアイブラックを貼る小園の写真とともに、「アイブラックでおなじみの小園」とコメントが添えられていたのだ。今年もまた小園の多彩なアイブラックが見られるものと思っていた。
ところが開幕後、昨年のような派手なアイブラックは小園の顔面から消えてしまっていた。それと連動するかのように小園は打撃不振に陥り、3、4月の月間成績は打率.157と低迷した。「ふざけたアイブラックなどやっている場合ではない」と考えたのかも知れない。しかし見ている側は少し寂しい気持ちにもなった。
4月24日に行われた、マツダスタジアムでのDeNA戦。小園の顔にはステッカータイプのおとなしいアイブラックが戻ってきていた。その試合で小園はサヨナラ犠飛を放ち、ヒーローになった。
そして5月、小園のアイブラックが派手に戻ってきた。3日の巨人戦で、顔の殆んどを覆うような大きな逆三角形のアイブラックをペイントした小園は、4打数3安打と活躍した。この日は同じく大きく垂れ下がったアイブラックを施した矢野雅哉もプロ初ヒットを放ち、お立ち台に立ったのである。
ここから考えるに、アイブラックを派手にした方が活躍できるのではないだろうか。そうなると小園のアイブラックは今後も進化を続け、他の選手も真似をする可能性も出てくる。今後、カープ選手の顔はどうなってしまうのだろうか。ドキドキしながらデーゲームを観戦したいと思う。
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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。