2025年シーズンの開幕から約2カ月。新井カープは開幕直後こそ連敗を喫したものの、若手が躍動するなど、粘り強い戦いで一時は首位に立つなど好調な滑り出しを見せた。まだまだ先の読めないペナントレース。ここではカープOB・大野豊氏が、スタートダッシュを成功させるために必要なポイントを、独自の目線で解説する。(全2回/第1回)

今季、開幕スタメンを果たした二俣翔一

◆ペナントレースは好調の滑り出し。投打の注目は二俣と栗林

 ペナントレースの開幕して約2カ月。開幕から坂倉将吾を故障で欠き、秋山翔吾、モンテロも故障離脱となかなか厳しいスタートだったように感じますが、その状況下にあっても、選手たちは非常に良く頑張っているのではないでしょうか。

 打撃陣に関しては、開幕からスタメンで起用されている二俣翔一が注目されています。4月のヤクルト戦で顔面を負傷した状態でも出場し続けていましたが、これはもう評価するべき、褒められるべきガッツだと思います。ただ、今季にかける気概は伝わってくる一方で、1番打者として十分に機能しているかというと、やや物足りなさを感じる部分もあります。守備では素晴らしいプレーを見せてくれているものの、打撃面では彼本来の力が出しきれていないという印象です。彼がどれだけ期待に応える活躍ができるかによって打線のつながりも変わってきます。4月15日には今季1号ホームランも飛び出しました。ここからさらに調子を上げて、新井貴浩監督の起用に応えるような打撃面での結果にも期待したいところです。

 先発投手陣は、最低限のゲームはつくれていると思います。その一方で、心配なのがリリーフ陣です。ハーン、栗林良吏の両投手は良い状態でシーズンに入れたものの、投げている試合を見るとやや不安定で、ランナーを背負いながらの苦しい展開が多く見受けられます。特に栗林は、昨シーズンの終盤から投球フォームを試行錯誤している印象があり、左肩の開きが早くなることで一塁側に体が流れ、リリースポイントがバラついているようにも見えます。ここから登板を重ねるなかで、彼本来の投球ができるような状態に戻していってもらいたいと思います。

 栗林は昨年右肘の手術もしていますが、キャンプで見る限りではその影響をあまり感じさせない、良い状態に仕上げてきていたように感じていました。手術が彼の投球にどの程度影響を及ぼしているかは分かりませんが、やはりもう一度、自分の気持ちをコントロールしながら、投球フォームをしっかりと見つめ直すことも必要だと思います。

 私も経験がありますが、投手の本能としては、悪ければ悪いほど変に力が入ったり、投げ急いだりしてしまうものです。そこで切羽詰まって投げてしまうよりも、リラックスして投げることができれば、コントロールもつきやすくなりますし、自分自身の気持ちも少し楽になるのではないかと思います。あまり悪く考えすぎることなく、自分を追い込まないような状況をつくることも必要なのではないでしょうか。

(後編へ続く)