育成ドラフト1位で磐田東高からカープに入団し、3年目に支配下登録をつかんだ二俣翔一。2025年シーズンは開幕から一軍入りを果たすと、アクシデントに見舞われながらも必死のプレーで一軍に喰らい付いている。ここでは二俣の父・豪良さんに、プロの舞台で戦う息子への思いを聞いた。(全2回/第2回)
◆「翔一には、ファンに喜んでもらえる選手になってほしい」
1年目は翔一もいろいろ気を遣ったり、イップス気味になったこともあったようです。私も「2年目が勝負だな。育成から上がらないとな」という言葉もかけていました。
2年目に二軍である程度結果を残して支配下登録選手にしていただいて、3年目には二軍で最多安打のタイトルを取りました。昨年は一軍に帯同させてもらい、本当に新井(貴浩)監督に勉強させてもらっているんだなと感謝しかありません。
唯一私が気にしていることは、まだ大きな失敗をしていないことです。大きな失敗をした時、翔一がどのような対応をするかが大事だと思っています。あの子はメンタルは強い方だと思うので、どう自分でカバーしていくのかというところを注目して見守りたいですね。
今季は、初めて開幕スタメンに選んでいただきました。一度はマツダスタジアムへ行きたいと思っていたので、元々行くつもりでいました。開幕前日に翔一から連絡があり「明日、スタメンすることになった」と聞き、やっぱりうれしかったですね。
後日「開幕のときはどうだった?」と聞くと、さすがに「1打席目は緊張した」とは言っていましたが、「ワクワクの方が強かった」と言っていました。あんな何万人もいる中でプレーをするわけですから、本当にそのメンタルはすごいなと思いました(笑)。
一軍でプレーするようになると、二軍のときのように翔一と会話することはなかなか難しくなると思います。「プロに入った以上は一軍の舞台でなきゃプロ野球選手じゃない」と言い続けてきました。親としては、うれしい反面、ちょっと寂しさもありますね(笑)。なので、毎日連絡を取って、「おはよう」と「お疲れ様」を伝えるようにしています。すごく短い言葉でしか返信はきませんが、反応で調子の良い、悪いという雰囲気は伝わってきています。私も話したいことはあるので……そのときだけは、電話をかけることがあります(苦笑)。
今回写真を探すため、久しぶりに昔のアルバムを開きました。小学生の頃から野球を始めたのであまり旅行などには行けなかったなと。ですが、翔一が野球に打ち込んだ分、いま何万人ものみなさんの前でプレーさせていただけていることは、親としてうれしいですし、本当に感謝です。
翔一には、ファンの方に喜んでもらえるような選手になってほしいです。
「まだまだそういう立場じゃないぞ」と言っていますが、若手選手として一生懸命やって、それをみなさんが見てくれて、判断していただくのだと。カープに育ててもらって、成長させてもらっているということに感謝していますし、本人もそれを感じていると思います。常にその気持ちだけは忘れないようにこれからも頑張ってほしいですね。