今季サンフレッチェ広島の開幕戦。町田のゴールネットを揺らした決勝弾は、今季加入の大卒ルーキー・中村草太の右足から放たれた。一直線にサポーターのもとに駆け寄り、歓喜の輪の中心に立った背番号39の快進撃はそこからだった。リーグ戦、ACL2と怒涛の勢いでゴールを量産するなど、チームに欠かせない存在となった。序盤から存在感を見せつけるスーパールーキーの今に迫る。(全3回/第1回)
◆結果が数字に出ることで自信に。シーズンを通して継続していきたい
−中村選手は明治大在学中から、トップチームの宮崎キャンプに参加されていました。プロの世界を体感した率直な印象はいかがでしたか。
「大学4年の2月に練習参加させていただいたのが最初でした。今もそうですが、プロの世界のレベルの高さを肌で感じたことを覚えています。技術面、フィジカル面、メンタル面のすべてで高いレベルが求められますし、実際に、周りの選手のレベルもすごく高いと感じました。このレベルの高さが、サッカーというプロの世界でプレーする、お金を稼ぐということにつながっているのかなと思っています」
−2月8日に行われたFUJIFILM SUPER CUP2025(国立競技場)の神戸戦でプロデビューを果たしました。プロサッカー選手として国立の舞台に立った時の感覚はいかがでしたか。
「楽しかったですね。点差もある状態だったので、あまり緊張せずにプレーできました。楽しくやれましたし、良い意味で力を抜いてプレーできたと思います」
−今シーズンのリーグ開幕戦(2月16日・町田戦、◯2ー1)では72分に途中出場し、劇的な決勝ゴールを決めました。改めて、リーグデビュー戦を振り返った感想を聞かせてください。
「あの試合では、上手く目の前にボールが転がってきたという運の良さもあったと思います。ただ、自分自身『チームの勝利のために準備をしてきた』という思いもあったので、それらがうまく結果に結びついてくれたゴールだったと思っています。出場時間は短かったですが、ああいった結果が出たことはすごく自信になりました」
−公式戦では順調に得点を重ねてきました。好調の要因は何だと考えていますか。
「結果が数字として出ているところはすごく自信になっています。少なからず、自分もプロの世界で、このチームでできること、通用するものがあるのかなと思っています。一方で、それをいかにシーズンを通して継続していけるかというところが、今後の課題と捉えています。周りの選手たちがうまくボールをつないでくれて自分のところにスペースが出てきたり、自分がシュートを打ちやすいパスを出してくれたりするので、ゴールという数字が残せているのは自分だけの力ではなく、周りの選手のおかげでもあると思っています」
−周囲の選手とは、日頃どのようなコミュニケーションをとっていますか。
「自分の良さや、やりたいプレー、特徴を試合で発揮できるように常にコミュニケーションを取るようにしています。相手に『こうしてほしい』と要求することもありますし、逆に周りの選手から要求されることもあります。特に中野就斗選手とは同じサイドでプレーするので、コミュニケーションを取ることは多いと思います。ジャーメイン良選手には僕から要求をすることもありますし、逆に要求されることもあります。そうやって、お互いに会話が一方通行にならないようなコミュニケーションが取れているのも良いところだと思います」
(中編へ続く)