2025年「変化」をキーワードにチーム改革を進める新井カープ。昨季課題となった得点力の向上を目指し、昨秋、今春のキャンプでは若手を中心に厳しい打撃練習を課してきた。シーズン開幕後、多くの若手が一軍定着へ向けて奮闘するなか、プロ8年目を迎えた中村奨成が存在感を上げている。

 中村奨はここまで17試合に出場(5月12日時点)し、5月11日のDeNA戦では4連連続で1番・センターでスタメン出場。4試合連続マルチ安打を記録するなど、シーズン自己最多安打をすでに更新している。ここでは、昨シーズン終了後の独占インタビューを改めて振り返る。

トップバッターとして存在感を示す中村奨成選手

◆実力不足を感じた2024年

─2024年はどんなシーズンだったと思われますか?

「やっぱり悔しかったです。チーム的にも、個人的にもそうです。チームが優勝争いするタイミングで一軍に上がらせてもらい、このタイミングで呼んでもらえたということに、自分自身でも『戦力として見られているんだ』という思いがありました。上がったからには、チームの優勝に貢献したいという思いがありました。スタメンで使ってもらって、打てた試合ももちろんありましたが、帯同させてもらう中で負けが続いてしまう試合もありました。そんな時はチームの力になれなかったというのが自分自身悔しいところですし、納得のいくような成績を残してないので悔しかったです」

─二軍で結果を残されて、満を持して一軍に上がりました。

「実力不足をすごく感じていますし、ここ数年は二軍で出ても……というところがあったので、このオフで、技術をもっと磨いていきたいと思っています。2024年はたくさん経験をさせてもらいましたが、それを踏まえても、やはり悔しい1年でした。2025年も同じような結果を繰り返していると、僕自身、立場的にも危ういところにいます。今年が終わった時に、『2024年シーズンを活かすことができた』と言えるようにやっていきたいです」

─打撃を期待されている面が大きいと思います。2024年シーズンを通して、打撃面での収穫、課題を聞かせてください。

「外野でスタメン出場させていただくことも多かったですし、1試合で4打席に立たせてもらえたこと、その中で、緊迫した場面で守らせてもらうこともありました。これまでは、同点の延長に入ると守備固めを出されて交代という場面も経験していますし、4打席に立つということはなかなかないシーズンもありました。そういったところを自分の中でプラスに捉えていますし、とても良い経験ができたと思っています」

─歳下の選手が増えていますが、どのような感覚ですか?

「今若い選手がどんどん増えて出てきている中で、競争意識を強く感じています。僕よりも若い選手がいる中で、プレッシャーと言いますか、『彼らは下でこれだけ打っている。自分もトロトロしていたら入れ替えもある……』というような思いが常にありました。良い意味でのプレッシャーというか、競争というか、そういう思いがすごく生まれたと思います。年下の良い選手がいるので、負けていたらレギュラーはもちろん、試合出場もなくなると思います」

─外野手は打撃力が求められます。現時点でバッターとしてどのような部分を目指していますか?

「今チームには右バッターが少ないですし、長打ですね。ホームランが20本、30本も打てれば苦労しないですが……、やはりチャンスに強いバッターです。ランナーが得点圏にいて、『奨成に回せば点が入るぞ』というぐらい、チャンスに強いバッター、そういうところを今目指しています」

─2025年は中村奨選手にとって8年目のシーズンとなります。どのような年にしたいですか?

「とにかく優勝したいですね。僕は経験したことがないですし、最後に優勝に加わりたいです。そのためには今、若い選手の力がすごく必要になってくると思うので、しっかり結果を残して、チームに必要と言われるぐらいやらないといけないと思っています。腹をくくって、性根を入れて、120パーセントの力を出して、後先考えず、高校生の時のように必死に白球を追いかけて、泥臭く頑張っていきたいと思っています」