カープは交流戦を5割で終了した。ここからさらに上位を狙うために必要なものは一体何なのか。OBであり解説者として活躍する大野豊氏に後半戦のポイントを聞いた。(全2回/第2回)(データは全て6月15日時点)
◆常に次の塁を狙う姿勢も、昨季との違いの一つ
昨シーズンからの野手陣の変化として、6月6日の西武戦で羽月隆太郎が足を使って決勝点をもぎ取るなど、機動力を発揮したプレーが見られました。こうしたプレーが増えてきたことも、昨シーズンとの違いの一つです。
シーズン後半戦に向け、野手陣は打つ、守るだけでなく、走塁から点に結びつける、相手にプレッシャーをかけるといった、カープ伝統の機動力をどんどん使っていくべきでしょう。『隙があれば次の塁に進む』意識を、チーム全体にさらに徹底していってもらいたいと思います。
繰り返しになりますが、野球は『何人ホームに返すことができるか』。つまり、どれだけ点が取れるかということが重要です。
そして点を取るには、結局は『どれだけチャンスがつくれるか』にかかっています。ランナーをホームに返す方法はヒット以外にもさまざまあります。カープにとってはその方法の一つが機動力であり、機動力を活かすことができればチーム全体の得点力も上がり、勝てる可能性も高くなっていきます。
野手陣には、チャンスに強い打撃、機動力を活かした野球をより意識していってもらいたいと思います。
ただ一つ言えるのは、昨シーズンに比べて明らかに『点が取れている試合が増えていること』。これは間違いありません。
その要因としては、先ほど名前をあげた新外国人のほか、末包昇大の存在もあるでしょう。末包は4・5月には4番で起用をされていましたが、彼が打点を上げた試合は勝っている印象があります。打線のつながりも踏まえた得点力アップという面では、彼がどこまでチャンスで打てるかが大切になっていきます。やや調子を落とした時期もありましたが、後半戦ではしっかりと修正して、本来の打撃を見せてくれることを期待したいです。
やはり『この選手が打てば勝てる』という存在がいるのは、チームにとって、特に投手にとってはありがたいものです。
私の現役時代であれば、山本浩二さんが絶対的な存在でした。特にチャンスの場面で打席に入り、『ここで一本打ってくれれば……』という場面で期待に応えてくれる打者は非常に心強いものです。まさに『真の4番』です。末包も監督の信頼を得て4番を任される打者なのですから、チャンスの場面で彼本来の勝負強さを発揮して、『真の4番』になっていってほしいと思います。
とはいえ、大切なのはチームが一つになって戦うことです。一番良いのは誰か一人がいつも活躍するのではなく、いろいろな選手がヒーローになってチーム全体で勝っていくことです。ペナントレース後半も、たくさんのヒーローが登場することを期待して見ていきたいと思います。