今季、カープ打線は序盤からチーム打率こそトップをキープしているものの、チームの勝敗に直結しない状況が続いている。

2012年以来8年ぶりに二桁本塁打をマークするなど、再び上昇気流に乗り始めた堂林選手。

 選手個々で見れば、打撃3部門で上位の数字を残す4番鈴木誠也を筆頭に、西川龍馬、堂林翔太など、打率3割超えの打者がおり、8月以降は夏に強さを誇る長野久義がらしさを発揮しているなど明るい材料も少なくない。

 ところが、リーグ3連覇中に見られたチーム全体としての得点力の高さは、ペナントレースの1/3以上を消化した現段階でも取り戻すことができず、得点数はリーグ4位だ。(8月21日現在)

 はたして浮上を図る上で今後、必要となってくるものは何なのか? 早期の修正点も含め、OBの大野豊氏に現状のカープ打線について聞いた。

◆打席での粘りが復調への足がかり

 開幕からなかなか勝ち切れない試合が続くカープですが、8月上旬には一つの勝ちパターンのようなものが見えた時期がありました。打線に関して言えば今季は打線を固定せず、8月の上旬の時点で言えば1番の西川、そして3番の長野と軸になる選手がよりはっきりと見えていましたよね。

 また今年は會澤以外にも坂倉や磯村などの若手捕手も積極的に起用しているだけに、昨季とは比較にならないほど数多くの打順がこれまでに生まれています。あくまでもこれは打順を固定しないことのメリットを狙っているわけではなく、打線がつながり切らないという課題を解消するためにさまざまな打順を試しているという風に私の目には映っています。

 打線のつながりというのは、まさに強い時のカープを象徴する言葉です。今季は一人ひとりの打者の力は素晴らしいのですが、つながりに欠けています。堂林が開幕から好調を維持していましたが、本来あれだけ出塁すれば、もう少し得点が入っても良さそうなものです。しかし、なかなか思うように勝ち切れない試合が続きました。もちろんそれは打線だけの責任ではないかもしれませんが、実際に得点がなかなか生まれずにヤキモキしたシーンは何度もあったはずです。

 チーム打率こそ高いですが、ここへきて打線のつながりを欠いて得点不足に悩まされる試合も増えてきました。昨季も大幅に得点数を落とし、結果的にBクラスに沈むこととなりました。その二の舞を避ける意味でも、今こそリーグ3連覇当時のような打席内での粘りを発揮して、巻き返しの足掛かりとしてほしいですね。