春先から着実に結果を残し、今やセットアッパーの地位まで上り詰めた左腕・塹江敦哉。プロ6年目にして初の開幕一軍を勝ち取ると、8試合連続無失点の中でプロ初勝利(7月8日、DeNA戦)も記録した。

自らの力でセットアッパーの座を勝ち取った塹江敦哉投手。

 8月に入ると安定感はさらに増し、計7試合の登板で自責点は0。セットアッパーとしての起用が増えた中での2勝5ホールドは、非常に価値のある数字である(数字はすべて8月24日現在)。

 「これまでと投げる場面が変わって落ち着きがなくなって失敗してしまうこともありますが、今は単純に一球を大事にしていくという気持ちで投げています」

 23日の巨人戦では7回1失点と好投した遠藤淳志の後を受け、7月中旬から定位置となっている8回に登板。4番・岡本和真から空振り三振を奪うと、その後ピンチを迎えたものの強力巨人打線を無失点に封じ、直後に坂倉将吾の決勝ソロ本塁打を呼び込んだ。

 「右打者に対して特に苦手意識はないのですが、まだやりきれていない部分はあると思います。たとえば右打者に対してインコースのストレートとスライダーをしっかり投げ切ることができれば、もう少し被打率も下がってくるはずです」。

 塹江の好投を裏付ける数字として、まず挙げられるのがホールド数だ。抜群の安定感を示すように、現在はチームトップ、リーグ3位となる11ホールドをマークしている。首位・巨人を3タテし、ここから追撃を目指すカープにとって、勝利の方程式が形になりつつあるのは好材料だ。

 「自分にできることがすごく多いわけではないので、とにかく今は自分の力を出し切ることに集中しています。そういう中で、改めてチームの勝ちを守り抜くというのはすごく大変なことだと感じています」

 重圧は増え続ける一方だが、今季の塹江は萎縮することなく打者と対峙することで結果を出し続けている。期待されながらも結果を残せなかった本格左腕が、プロ6年目にしてついに飛躍の時を迎えている。