プロ3年目のケムナ誠が7月5日の一軍昇格以降、カープ中継ぎ陣の一角として奮闘を続けている。現時点ではビハインドの場面での登板が中心となっているが、結果を積み重ねることで着実に首脳陣の信頼を集めつつある。

 8月25日のDeNA戦では、チームが一時同点に追いつく直前の1イニングを三者凡退に抑えるなど、打線に勢いを与える力強い投球が最大の魅力だ。

150キロを超える直球を武器に、高い奪三振率を誇るケムナ誠投手。

 昨年の秋季キャンプから猛アピールを続け、春季キャンプでは3年目にして初めて一軍メンバー入りを勝ち取った。そのまま二軍に落ちることなく、沖縄での二次キャンプにも帯同。しかしながら沖縄では結果を残すことができず、無念の二軍降格となっていた。

「オフの間はウエートトレーニングを中心にやって102キロくらいまで体重を増やすことができました。でも、その分、キャンプに入って体が重く感じたというか、自分の体をちゃんと使い切れていない印象があったんです。なので、コロナの影響でシーズンが遅れてしまったのですが、逆にその時期を利用して元の95キロくらいまで絞りました。筋肉量が増えたまま体を絞ることができたので、昨シーズンよりも納得した体のキレが出せるようになったと感じています」

 延期期間を有効活用することで体のキレを取り戻したケムナは、二軍で好投を続けて7月5日に一軍昇格。今季初登板となった7月5日の阪神戦で2回無失点と好投。その後も中継ぎとしての登板が続き、3試合連続無失点と上々の滑り出しを見せた。8月1日の巨人戦では2回7失点と炎上したが、その後は課題の制球力も向上し、コンスタントに結果を残している。

「自分の今の良い部分としては、打者に向かってどんどん向かっていく姿勢が出せていることだと思います。一軍に上がってから試合で受けていただいた會澤(翼)さんにも『打者に向かっていく姿勢は良い』と言っていただけましたし、そこは自信を持っていたいと思います」

 ガムシャラに打者に立ち向かう姿勢は、首脳陣からもお墨付きだ。そこに加えて投球面では150キロを超える直球だけではなく、今季からは変化球にも手応えを感じているという。

「今シーズンは、ストレートを軸にスライダーやチェンジアップでカウントを整えることができるようになっていると思います。変化球の割合を増やすことができて、相手に的を絞らせないようにするということが、少しはできていると思います」

 昨季はわずか1試合のみの一軍登板に終わったが、今季は早くも10試合をクリアした。塹江敦哉、島内颯太郎ら速球派若手投手の台頭が見られるなか、同じく将来を嘱望される大型右腕が一軍での居場所を確立しつつある。