今季120試合で行われるペナントレースも各チーム約半分の60試合を消化した。8月31日時点でカープは60試合を戦い、24勝30敗5分、借金6、リーグ5位に低迷している。

 カープの前半戦を振り返る上で、避けて通れないのが投手陣、中でもリリーフ陣の問題だろう。春先からストッパーを固定することができず、開幕当初は中継ぎとして期待されていたスコットが最終回を任されることとなった。しかし練習試合とは打って変わって安定感に欠け、その後は菊池保則、一岡竜司、フランスアなど“日替わり守護神”の体制をとるなど、序盤から最終回を任せる投手を固定しきれない日々が続いていた。

開幕時に守護神に指名されたスコットだが、6試合に登板し2敗、防御率22.50と結果を残すことはできなかった。

 もう一人の助っ人であるDJ.ジョンソンも結果を残せず、リーグ3連覇の原動力となった中﨑翔太、今村猛も現在は二軍で再調整を続けている。前半戦の戦いの中で苦戦を強いられたカープリリーフ陣について、OBの大野豊氏が総括する。

◆苦戦の最大の要因となったストッパーの不在

 カープがここまで苦戦を強いられている最大の要因にリリーフ陣、特にストッパーの脆弱さがあったことは間違いないでしょう。開幕当初はスコットが務めていましたが、その後菊池保則に代わり、一時期は“日替わり守護神”という体制をとらなければならないほど厳しい状況に追い込まれていました。

 やはりリードで迎える9回は特別なイニングです。極端に言えば、一球も失投が許されませんし、他のイニングでは強気の投球をしていた投手が、急に臆病になったりしてしまうことも何度も見てきました。それほど精神面の充実も要求されるポジションだということです。菊池保もセットアッパーをしていた時は悪くない投球を見せていたのですが、ストッパーとして投げ始めた途端、自分を苦しめるような投球になっていました。

 菊池保にストッパーを任せなければいけない状況に追い込まれたのも、新外国人、そしてリリーフとして実績のある中﨑、今村の不調によるところが大きいでしょう。特にスコット、DJ.ジョンソンのどちらかが結果を残すことができていれば、チームの成績は大きく変わっていたはずです。

 3連覇中を振り返るとリリーフに軸となる外国人投手がいました。今季も保険としての意味合いも兼ねて2人の新外国人投手を獲得したのでしょうが、その2人とも一軍で戦力になり切れていないのは大きな誤算でしよう。

 またリリーフの経験が豊富な中﨑、今村とどちらも一軍で活躍できていない状況も計算外でした。中﨑は投球を見る限り球のキレ、コントロール共に甘い部分がありましたし、今村に関しても打者を攻めきることができていないように思いました。

 もちろん今季はまだ終わっていませんし、この2人が力を取り戻せば、チームにとってはこれ以上ない戦力向上につながるはずです。今季のブルペンはここまで若手投手が台頭し、世代交代の気配を感じさせますが、中﨑、今村共にまだまだ老け込む年ではありません。ぜひ再起を期待したいところです。