大学ナンバーワン右腕の肩書きを引っさげて明治大からドラフト1位で入団した森下暢仁が、周囲からの期待に違わぬ投球を見せている。これまで9試合に登板し5勝2敗。防御率2.19は、菅野智之(巨人)に次ぐ堂々のリーグ2位の成績だ。

右肘を高く上げる独特の”UFO投法“で話題を呼んだ山内投手。2002年限りで現役を引退し、その後はカープで投手コーチも務めた。

 8月14日には相性の良い阪神を相手に、プロ2戦目で逃したプロ初完封勝利を記録。ここ3試合は続けてクオリティスタート(6回以上、自責点3以内)をマークするなど、投球毎に安定感を増している。

 オープン戦や練習試合の時点から修正能力の高さを垣間見せていたが、ペナントレースに入ってからさらにその能力が増した感がある。5勝はエースの大瀬良大地と並んでチーム勝ち頭。戸郷翔征(巨人)ほか強力なライバルがひしめくリーグ内において、新人王争いの筆頭と言っても過言ではない活躍ぶりだ。

 ここでは森下と同じくルーキーイヤーに活躍し、見事に新人王を受賞した過去のカープ大卒投手をピックアップして紹介していく。初回は独特な”UFO投法“で名を馳せた山内泰幸のルーキーイヤーを振り返る。

◆広島出身の即戦力投手が先発、中継ぎにフル回転

 地元広島の尾道商高から日体大に進学すると、急激に実力を伸ばし大学球界を代表する右腕にまで成長した山内泰幸。複数の球団が獲得に興味を示すなか、球団初の逆指名選手として1994年秋にカープに入団した。

 プロ入り1年目となる1995年、開幕一軍入りを勝ち取った山内は、4月11日の阪神戦でプロ初登板。7回途中までを投げ切り、初登板初勝利を飾ってみせた。

 その後は結果を出せず5月中旬から1カ月ほど中継ぎへの配置転換を余儀なくされたが、そこからのフル回転で5月だけで4勝を挙げ月間MVPを獲得した。復調が認められ6月11日に再び先発マウンドを託されると、すぐさまプロ初完封勝利をマーク。7月9日には10勝に到達し、監督推薦でオールスターゲームにも選出された。オールスター戦では第2戦の3番手として登板し、2回2失点ながら勝利投手に輝いている。

 後半戦は9月中旬から5試合連続で敗戦投手になるなど、シーズン終盤に入り急激に失速。優勝から遠のくチームと呼応するように、自身もピッチングの調子を崩していった。

 しかしながら最終的に14勝10敗と、ルーキーながらチーム2位の勝ち星を収めシーズンを終了。前半戦だけで11勝をあげる活躍などが評価され、カープでは1986年の長冨浩志以来となる堂々の新人王受賞となった。