佐々岡真司監督が満点と称した昨年のドラフト会議で、カープから堂々の4位指名を受けたのが韮澤雄也だ。走攻守三拍子揃った期待のホープで、1年目からウエスタン・リーグで実戦経験を積み上げている。
高校時代は埼玉の名門・花咲徳栄高で、3年連続で夏の甲子園を経験。直後のU-18ワールドカップでは、日本代表の3番として29打数10安打という好成績を残すなど高い潜在能力を見せつけた。伸び代しかない期待の若鯉が、ライバルひしめく内野枠で猛アピールを続けていく。
◆本職はショートながら今季は主にセカンドで出場
二軍内野陣の中で、ルーキーながらコンスタントに試合出場を続ける韮澤雄也。高校時代は主にショートを守っていたが、プロの世界ではチーム編成上セカンドの守備に多く就いている。
「セカンドはショートと動きも逆だし、景色も全く違いますね。今まで以上に頭を使って野球をやっています。また一から野球を“覚える”感覚ですね」
足を使い、とにかく横着しないこと。プロで生き抜いていく上で必要な土台をつくるべくコーチから日々熱い指導を受けている。
ルーキーにとって、野球漬けの毎日自体が初体験の日々。野球のレベル、生活のリズムが高校時代とは大きく異なる日々を過ごす苦労もありながら、背番号54はそれ以上に大きな成長を遂げている。
「最初は全然打球が前に飛ばなくて苦労したんですが、試合がない時期にウエートトレーニングに取り組んで体重が5キロぐらい増加したんです。それから打球が前に飛ぶようになって、ヒットが出始めています」
試合出場が続くことで心配された夏バテもなく、春先から増加していた体重もしっかりと維持。鍛錬を積んでひとまわり大きくなった肉体に加えて、プロの投手に対する“慣れ”もあり、徐々に自信を積み重ねている。
「やっぱりホームラン打ってみたいですね。最初の頃とは違って最近は少しずつ打てるイメージもできてきているので……今季中に打ってみたいです!」
今後の目標を語りながら思わずこぼれた笑みこそが、背番号54が充実のルーキーイヤーを過ごしていることを物語っている。