カープは11月3日、来季のコーチングスタッフを発表し、一軍内野守備・走塁コーチに就任する松本高明氏が会見に臨んだ。現役引退後は球団スタッフとして長年チームを支え、二軍マネジャーを経て、近年は監督付き広報を担当。12年間にわたりグラウンドの外からチームを支えてきた松本氏が、今度は指導者として再びユニホームを着る。球団スタッフからコーチへの転身という異例の人事となった。
就任にあたり、「まずはこのような機会をいただいた松田オーナーをはじめ、新井監督、球団関係者の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。またカープのユニホームを着られるとは思っていなかったので、驚きもありましたし、本当に責任を感じています」と率直な心境を語った。
打診を受けたのは秋季練習が始まった頃だったという。「グラウンドを離れて12年間、チームを支える立場だった自分が、今度はコーチとして引き受けて良いのか。本当に自分で務まるのか、球団関係者の方に迷惑をかけないだろうかと、すごく不安は大きかったです」と胸の内を明かした。
そんな松本氏の背中を押したのが、新井貴浩監督の言葉だった。「僕からも『本当に自分で良いんですか?』と聞いたんですけど、監督からは『何を言っているんだ。良いに決まってるじゃないか。お前が今までやってきたこと、感じて、見てきたことをそのままやれば良いんだ』と言っていただきました」と振り返った。
指導者としては、まず現代野球を一から学び直す姿勢を大切にする。「自分には華々しい実績もないですし、現場を離れていた時間も長かったので、まずは今の野球を一から学び直す気持ちでやっていきたいです」と話し、データやアナリストの活用など、現役時代とは変化した野球への理解を深めていく考えだ。「コーチとして選手に伝えるからには、選手以上に努力して学び続けないといけないと思っています」と指導者としての責任感を口にした。
技術面では「基本と応用」、そして「予測と準備」を重視する。基本を身につけることを土台に、試合の状況を把握し、先を予測することで良い準備につなげていく考えだ。また、12年間の球団スタッフ経験で培った選手とのコミュニケーションも、指導に活かしていきたいという。広報として選手の写真や動画を撮影する中で、一人ひとりの個性や物事の捉え方の違いを感じてきた。「そういった選手との接し方やコミュニケーションの部分は、コーチングにも活かせるのではないかと思っています」と語った。
目指すコーチ像については、「僕自身、優しく寄り添うタイプではないかなと思うので、まずはしっかり選手と向き合って、時には厳しく言わないといけないこともあると思います。その中でも、一緒に悩む時は一緒に悩んで、一緒に学んで、一緒に成長していけるようなコーチになりたいです」と語り、選手と真摯に向き合い、ともに成長していく姿勢を示した。
また、緒方孝市氏、佐々岡真司氏、新井監督という3人の監督の下でスタッフとして過ごした経験も、自身の財産になっている。「監督がどういう思いで、どういう考えでチームを率いていたのか、いろいろ話も聞かせてもらいました。そういったことは自分の中の引き出しとして持っておいて、選手たちにも伝えていきたいです」と、これまでの経験を指導に還元する考えだ。
目指すのは、勝利を追求しながらも、ファンに一生懸命な姿が伝わるチーム。「もちろんチームが勝つことが一番です。ただ、その中でも『氣』を前面に出して戦う姿だったり、一生懸命な姿を大事にしたいです」と力を込めた。
12年間、スタッフとしてチームを支えてきた松本氏。選手としての経験に加え、球団スタッフとして培ってきた視点や経験を糧に、新たな立場で選手たちと向き合う。
◆松本高明(まつもと・たかあき)
1984年4月12日生まれ、東京都出身。帝京高から2002年ドラフト5巡目でカープに入団。内野手として通算197試合に出場し、2014年に現役を引退。引退後より二軍マネジャーを務め、2018年から監督付き広報を担当。2027年シーズンから一軍内野守備・走塁コーチに就任。
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