9月から10月にかけて公式戦7連勝と波に乗り、現在リーグ3位につけているサンフレッチェ広島(10月30日時点)。クラブOB・吉田安孝氏は、故障者を出しながらも好調が維持できている要因を、『個の能力の高さ』と『核となるストライカーの存在』と見る。なかでもリーグ得点ランキング2位タイの鈴木章斗は9得点をあげている得点源だ。明治安田J1百年構想リーグを経てさらに成熟度を増すサンフレッチェの強さを、吉田氏の独自の目線で紐解いていく。(全2回/第2回)

2016年7月9日の鹿島戦以来となるゴールをあげた浅野拓磨
2016年7月9日の鹿島戦以来となるゴールをあげた浅野拓磨

◆浅野に待望のJ復帰ゴール!百年構想リーグの積み重ねが成果に結びついている

 故障者を出しながらも好調をキープしているサンフレッチェですが、前線の選手を見ると、やはり鈴木章斗の活躍が頭一つ抜きん出ている印象を受けます。

 今シーズンはすでにリーグ戦でチームトップの9得点をあげ、得点ランキングでは上位につけています。前線の選手は基本的にはエゴイストで、「自分がゴールを決めるんだ」というギラギラしたプレーが持ち味の選手が多いものですが、鈴木の場合はアシスト総数4というデータを見ても、周りをうまく活かすことができている点が特徴です。

 その日、その試合のその瞬間、チームにとってベストな選択ができる。非常にクレバーで献身性の高い選手だと改めて感じます。

 またそうしたプレーの数々は、FWとしてしっかり得点できているという『心の余裕』からくるものでもあると思います。自身の結果として、目に見える数字が残せているからこそ、周りをアシストするプレーも積極的にできているのでしょう。

 そういう意味では、ここからさらに注目したいのが浅野拓磨です。

 開幕前に故障で離脱し10月11日の東京V戦でJリーグ復帰を果たした浅野ですが、ここまでは4試合で途中出場、1試合で先発しています。出場時間が徐々に伸びているところを見ても、「なんとかまずは1点を取らせたい」というガウル監督の意図も感じられる采配でした。

 その指揮官の思いに応えるように、実に3759日ぶりのJ1ゴールを決めたのが、10月24日のホーム・清水戦です。スタジアムを揺らしたファン・サポーターの大歓声からも、誰もが待ちわびたゴールであったことが伝わってきました。浅野自身も得点が生まれたことで余裕ができ、ここからさらにプレーのアイディアも膨らんでいくはず。まだまだ連戦が続くなか、さらにギアを上げていくであろうジャガーに期待したいと思います。

 過去に優勝したシーズンを振り返ってみると、そこにはやはり、核となるストライカーの存在がありました。鈴木や浅野、加藤陸次樹といったチームの核を担えるストライカーの存在は、優勝するためにも必要不可欠なのです。

 ここまで非常に良い状態で、完成度の高いサッカーができているサンフレッチェ。百年構想リーグを経てチームが成熟したことで、選手たちも阿吽の呼吸でプレーできるようになってきているように感じられます。改めて、日々の一つひとつの積み重ねが結果につながり、9月、10月の好調という結果として現れたと感じた期間でした。

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。