投打の歯車が噛み合わず、引き分けを挟んでの連勝が4で止まったカープ。阪神先発の西勇輝には8回1失点と完璧に押さえ込まれ、今季4個目の黒星を喫するなど、悔しさにまみれた敗戦となった。

10月8日の阪神戦で一軍初登板を記録した藤井黎來。1回を無失点に切り抜ける上々デビューを果たした。

 そんな中明るい話題となったのが、この日プロ初登板を果たした藤井黎來(ふじいれいら)の投球だった。大差をつけられた中、7回にマウンドに上がった藤井は直球を全面に押し出した投球で、力強さを印象づけた。

 先頭打者・梅野にライト前安打を許し早速ランナーを背負う展開となったが、育成出身の叩き上げは簡単には動じない。続く小幡は見逃し三振に切って取ると、続く西の犠打で走者を得点圏に進めたが、この日3安打を放っていた近本には直球勝負を選択。内角高めの球で内野ゴロに仕留め1回を無失点に抑えた。

 今季、高卒プロ3年目の右腕はウエスタン・リーグで主に中継ぎとして17試合に登板。防御率は0.76と結果を残し、見事9月26日に支配下選手登録を勝ち取った。「今年が最後のシーズンだと思って、危機感を持って毎日投げています」。昨季までは二軍でも通算9試合の登板にとどまっていたが、背水の陣で迎えた今シーズンは実力を発揮し二軍首脳陣の評価を高めていった。

 シーズン通して苦しい戦いを強いられている一方で、フレッシュな若鯉たちが次々と一軍デビューを果たしている今季のカープ。新たな背番号58を携え、プロ初登板で上々の投球を見せつけた藤井。並み居る若手投手たちと切磋琢磨しながら、さらなるステップアップを遂げていく。