カープ先発・野村祐輔が5回8失点と炎上し、さらに打線は相手先発・西勇輝の前に押さえ込まれた10月8日の阪神戦。投打で良いところを見せることができず敗戦となったが、完封負けを阻止すべく8回に意地のタイムリーを放ったのが、この日8番・ショートでスタメン出場を果たした上本崇司だった。

 これまでユーティリティープレーヤーとしてチームの勝利に貢献してきた上本だが、今季は打撃面でも存在感を示している。プロ8年目にして打数、安打、打点など打撃成績の多くでキャリアハイの数字を記録。10月8日時点でスタメン起用も11試合を記録し、早々と昨季までのスタメン試合を上回っている。

10月8日の阪神戦でチーム唯一のタイムリーを放つなど、打撃面でもアピールを続ける上本崇司選手。

「スタメン出場と途中出場ではそれぞれ別の緊張感があると思っています。スタメンの場合長くグラウンドに立ち、球に触れ合う機会が多くなるので、その分ミスをする可能性も増えてきます。なので、そういう部分を意識して気をつけながら、いつも以上に集中力を切らさないように心がけています」

 守備面でも二塁手、三塁手、遊撃手、外野手と、複数のポジションを守りチームに貢献。8月28日の阪神戦では土壇場の9回で失策を喫し、明治大の後輩である森下暢仁の勝利を消してしまったが、直後にサヨナラ打を放ちミスを帳消しにしてみせた。

「今年に関しては結構ミスが多くて、2失策してしまっていますし、大事な場面でもミスをしてしまっています。そういうことがあると、どうしても気持ち的に沈みがちになってしまうこともあります。ですが、そういう気持ちを少し我慢して、そんな気持ちの時こそ、いつも以上に集中してノックを受けたりするようにしていますね。もし大事なところでエラーをしてしまったら、後悔してしまいますからね。だからこそ、練習から一球一球集中力を持って、大事にノックを受けるようにしています」

 堅実なプレーを積み重ねることで、今季は例年とは違う信頼感を得ることに成功した。

「1年間フルに一軍にいたシーズンはこれまでにないので、まずは最後まで一軍でとにかくチームに貢献して、1試合でも多く勝てるように頑張ります。そしてその日その日を全力で大事にしながら頑張っていきます」

 背水の陣で挑むプロ8年目の今季。チームに欠かせぬ名バイプレーヤーが、残りわずかとなったシーズンを全力で駆け抜ける。