◆広島 2-1 神戸(2020年10月18日・エディオンスタジアム広島)

 10月18日、サンフレッチェ広島がホームで、スター軍団のヴィッセル神戸を迎え撃った。この日は城福浩監督の親族に不幸があり、沢田謙太郎ヘッドコーチが暫定的に試合を指揮することとなった。

第15節以来の先発で、攻守ともに光る働きを見せていたエゼキエウ選手。

 前節の大分戦で先発11人を入れ替えるなど大幅なターンオーバーを行なった神戸は、サンフレッチェ戦では一転して主力を投入。一方でサンフレッチェはシャドーにエゼキエウ(第15節の清水戦以来の先発)、ボランチに野津田岳人(先発は8月5日のルヴァン杯・浦和戦以来)を起用するという、これまでとは大きく異なる布陣で中3日の試合に臨んだ。

 前回の同カード(7月4日・第2節)では神戸に大幅にボールを支配されたが、この日は前線から積極的にプレスを仕掛け決定機も演出。アンドレス・イニエスタを起点にパスを散らす神戸の攻めも、早めのケアで未然にチャンスの芽を摘み取った。

 43分には森島司のコーナーキックから、佐々木翔が豪快なヘディングシュートを叩き込み先制。前半ロスタイムにはエゼキエウのカットからショートカウンターを発動し、レアンドロ・ペレイラの左足から待望の追加点が生み出された。

 後半開始直後も立て続けに神戸ゴールに迫り、主導権を握ることに成功。中盤以降は神戸の猛攻を受ける形となったが、粘り強く対応することで薄氷ながら勝ち点3を引き寄せた。以下は城福監督に代わり試合を指揮した沢田コーチの試合後のコメントだ。

「しっかりクラブ全体でこの試合に臨めて、その中で選手たちが最初から最後まで我慢強く守ってくれました。もちろん守るだけでなく、攻撃でも選手たちが100%のものを出してくれました。サポーターの方と一緒に喜べて、今はちょっと安堵しています」

 急きょチームの指揮を執ることになっただけに、沢田コーチにもプレッシャーはのしかかっていた。ただ「余所行きのことはできない」と腹を括り、前日練習から普段通りの指示を貫いたという。

「監督からも『いつも通りやれ』と言ってもらえたので普段通りやらせてもらいました。相手にボールを持たれたときに、どうやって押し返すか。ただ守っているだけではしんどいので、(前日練習では)いまチームがやっていることを再確認しました。日頃やっていることを再確認してやっただけで、これまで積み上げたものが今日は出たんだと思います」

 8005人が詰めかけたホームゲームで、サンフレッチェが指揮官不在のなか神戸に勝利。前節の川崎戦では結果に結びつかなかったが、城福監督が意図する内容で勝ち点3を積み上げた。