まさに“黄金ルーキー”と呼ぶにふさわしい活躍だった。カープ・森下暢仁が、10月24日のDeNA戦(横浜スタジアム)で、投げては9回1失点でプロ2度目の完投勝利、打っては試合を決める勝ち越し打をマーク。ドラ1右腕が投打にわたる活躍で9勝目を挙げた。

10月24日のDeNA戦で9回135球の熱投を見せた森下暢仁投手。プロ2度目の完投勝利で新人王にまた一歩近づいた

 「新人王」のタイトル獲得に向け絶対に負けられない一戦。今シーズンまだ白星を挙げていないDeNAを相手に最高のピッチングを披露した。序盤2イニングは無失点、3回に乙坂智にタイムリーを打たれ先制を許すも、4回以降はDeNA打線を無安打に抑えるピッチング。9回2死からオースティンに安打を打たれるまでは1安打も許さなかった。

 この日はバットでも魅せた。8回、菊池涼介が安打と盗塁でつくった2死二塁のチャンスで、DeNAの4番手・平田真吾に2ストライクと追い込まれながらも、ライト前にポトリと落ちる執念のタイムリー。二塁から菊池が生還したのを見届けると、一塁ベース上で笑顔溢れるガッツポーズを見せた。

 9回もマウンドにあがった森下は、そのまま最後まで投げ抜き、プロ2度目の完投勝利。135球を投げて4安打2四球5奪三振と、新人王にまた一歩近づく9勝目を挙げた。カープの球団新人では、1997年の黒田博樹以来、セリーグ5球団から勝ち星を達成となった。これで二桁勝利まであと1勝。防御率も2.04となり、プロ1年目での防御率1点台も見えてきた。

「いつも『攻めていく』という気持ちが一番大事だと思っているので、逃げずに自分の球をしっかり投げるということを意識しています」

 大瀬良大地、K.ジョンソン、野村祐輔など、これまでチームを支えてきた先発投手がケガ等で離脱するなか、プロ1年目から先発ローテを守り続ける大車輪の活躍。10月26日時点でチーム1位の先発登板、17試合中13度のクオリティースタートを達成するなど、ルーキーとは思えない安定感抜群のピッチングでチームの勝利に貢献し続けている。

 いよいよ、佳境を迎える今季の新人王レース。エースナンバー・背番号18を受け継いだ右腕が、残りの試合でどんな投球を見せてくれるか、最後まで目が離せない。