◆ラッキーストライクで思い出す様々なゲン担ぎ

ここからは、そんなカープのドラフトにおいて、個人的に印象に残った事柄ベスト3を取り上げてみたい。

【3位】眉毛

 ドラフトで指名される選手、特に高校生の多くは、眉毛を整えていることが多い。ひとくちに「整える」と言っても、眉の上下を剃って太さを細くする、眉尻をシュッと尖らせる、毛の長さを短くして薄く見せる、といった様々な技法がある。

 これまでのドラフトで感じた「眉尻シュッNo.1 」は2009年ドラフト1位の今村猛、「眉薄いNo.1」は2014年ドラフト1位の野間峻祥だ。今後も選手たちの眉は薄いままなのか、或いはナチュラル眉に回帰していくのか、目が離せない。

【2位】笑顔 

 ドラフトで指名を受けた直後の選手の顔がテレビに映し出される時、我々はその表情に着目する。浮かない顔をしていた場合、「意に染まない指名だったのかな」と心配になるし、逆に笑顔であればホッとするものだ。

 その笑顔が素敵だった選手は、前述の小園である。小園は4球団抽選の末に当たりくじを掲げてガッツポーズをする緒方孝市監督の姿を見て、満面の笑みを浮かべた。見守っている方の安心感が得られるという点では、指名された選手はなるべく笑顔でいてもらえるとありがたいと思う。

【1位】ゲン担ぎ

 カープも含めて球団関係者は、ドラフト会議に臨む際に様々なゲン担ぎをする。「くじを引く際に右・左どちらの手で引くか」に始まり、「〇〇を身に着ける」「〇〇を食べる」「寺社に参拝する」といったようなことだ。

 カープでは、1999年ドラフトで3球団競合を勝ち抜いて河内貴哉の交渉権を獲得した達川光男監督が、ラッキーストライクの箱をスーツの胸元から取り出して掲げたのが印象深い。また2013年ドラフトで、大瀬良大地と田村恵スカウトがともに赤パンツを穿いて当たりくじを引き寄せたこともあった。

 今年も単独指名とはいえ、佐々岡真司監督が赤パンツを穿いていたおかげで栗林を獲得できたと言っても過言ではない。

 今後も「ドラフトと言えば赤パンツ」となるのか、あるいは別のゲン担ぎが登場するのか、見守っていきたいと思う。

【番外編】筆者の印象に残るドラフト 昭和ver.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。