思わず心を奪われる!カープの話題をゆる〜くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は、ドラフト会議ならではの“ドラマ”を、オギリマ視点のカープバージョンでゆる〜く取り上げる。

◆達人ぶりが光るカープのドラフト戦略

 ここ数年、カープファンはとても穏やかな気持ちで11月を迎えている。日本シリーズの話ではない。ドラフトの話である。

 今年10月26日、レギュラーシーズンの試合が行われている最中に実施された異例のドラフトで、カープはトヨタ自動車の栗林良吏を単独指名し交渉権を得た。昨年も大船渡高・佐々木朗希(現ロッテ)に4球団、星稜高・奥川恭伸(現ヤクルト)と東邦・石川昂弥(現中日)に3球団が競合する中で明治大・森下暢仁を“一本釣り”し、大成功をおさめたのは記憶に新しいところである。

 「ドラフトの真価が問われるのは当日ではない、その選手が本当に活躍したかが判明する数年後である」とはよく言われるが、贔屓のチームが毎年競合指名になり、挙句くじを外し続けたりした場合、ファンの心中も穏やかではないだろう。

 「朝日新聞デジタル」2020年10月26日の記事によれば、カープは2008~2020年のドラフト競合1位(外れ1位も含む)のくじでは3勝6敗と、決して「くじ運最強球団」ではない(その称号は10勝5敗のロッテに贈りたい)。

 確かにカープは2012年ドラフトで森雄大(現楽天)、増田達至(現西武)を、2016年ドラフトでは田中正義(現ソフトバンク)、佐々木千隼(現ロッテ)の抽選を立て続けに外した。しかしここ数年は、2球団競合の中村奨成(2017年)、4球団競合の小園海斗(2018年)のくじを引き当てるなど、くじ運の強さも備わってきているようだ。

 特筆すべきは2008年以降の抽選参加数で、カープは12球団中最も少ない9回となっている。ここから、カープは他球団と競合しない選手を選択していることが分かる。

 競合しそうな場合でも、たとえば前述の森下の場合はドラフト前日に指名を公表し、栗林の場合には公表を行わないなど、他球団の動向を読んで獲得をより有利に進めようという戦略が見て取れる。さらには、これまでカープから指名を受けて入団拒否をする選手も殆んどいなかったことから、事前に綿密な調査を行い、手堅い指名を行っているのだろう。

 カープこそ「ドラフトの達人」なのかも知れない。