カープ鈴木誠也が、11月10日のヤクルト戦(神宮)で、3打数3安打の猛打賞を記録。打率を3割にのせ、球団初となる『5年連続打率3割』を確実なものにした。
試合前の打率は.295。3打数3安打であれば打率3割達成という状況の中で、佐々岡監督は鈴木を2016年10月1日以来となる1番でスタメン起用した。
第1打席では、プロ初登板となったヤクルトの高卒右腕・奥川恭伸との対決に注目が集まるなか、奥川のストレートを難なく弾き返しセンターオーバーの二塁打。3球団が競合した甲子園準優勝投手に“プロの洗礼”を浴びせると、2回に巡ってきた第2打席は、奥川の変化球をレフト前に運び、2打数2安打。
そして迎えた3回の第3打席。投手が星知弥に代わり巡ってきた2死一、二塁の得点機では、一塁線を破るタイムリー二塁打。3打席連続安打で見事打率を3割にのせたところで、代走を送られ、カープファンの拍手を背にベンチへと下がった。
鈴木は、25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年に一気にブレイク。この年は交流戦で2試合連続のサヨナラ本塁打含む3試合連続決勝本塁打など強烈にインパクトを残す活躍を見せ、打率.335・29本塁打をマーク。以降も、打率.300・26本塁打(2017年)、打率.320・30本塁打(2018年)、打率.335・28本塁打(2019年)と数字を残し、チームを引っ張ってきた。
そして迎えた2020年。開幕は6月にずれこみ、シーズン当初は無観客試合が続いた。そんななかでも、4番として、チームリーダーとして、特別なシーズンに臨むチームとファンを鼓舞し続けた。
「ずっとこの状況が続く訳ではないと思うので、お客さんが球場に来てくれたときに、もっと活気あるプレーができるよう、頑張りたいなと思います」
残念ながらV奪回は叶わなかったが、最後の最後に、“活気がわく”偉業達成のニュースをカープファンに届けてくれた。
4年連続打率3割はカープでは、自身を含めて山本浩二、正田耕三、前田智徳の4人だったが、この日の記録でレジェンド3選手の記録を更新。さらに、今季本塁打を25本放っていることで、プロ野球史上4人目となる『5年連続打率3割・25本塁打』も達成し、王貞治(元巨人)、落合博満(元ロッテ・中日など)、小笠原道大(元日本ハム・巨人)の偉大な打者とも肩を並べた。
誰も経験したことのない過酷なシーズン。チームは故障者が続出したが、シーズンを通して試合に出場し、打線を牽引してきた背番号1。カープ、そして日本を代表する打者は、さらに高みを目指し、これからも成長を続けていく。