昨季の一軍登板はわずか2試合。背水の陣で臨んだプロ7年目シーズンは、中村祐太にとって今後につながる意味のある一年となった。開幕こそ二軍スタートとなったものの、9月に一軍に昇格すると先発ローテーションの一角として安定感のある投球を展開。期待され続けてきた若き右腕が、復調を示した今季を振り返る。

5勝を挙げた2017年シーズンを彷彿とさせるような投球を披露した中村祐太投手。

◆低めに球を投げることが自分の生きていく術

─ 昨年は3年ぶりに白星なしのシーズンになりました。それを受けてプロ7年目の今シーズン、どんな思いで臨まれたのでしょうか?

 「自分の中では、相当な覚悟を持って臨んだシーズンでした。“今年ダメだったら終わりだ”と自分に言い聞かせていました」

─ これまでと比べ、野球への取り組み方で、大きく変えた点があれば教えてください。

 「変化で言うと、投球する上での意識ですね。今までだと、全て良い球を投げようと考えてしまうなど、登板した試合で100%を求めてしまう部分がありました。ただ、それはすごく難しいことなので、たとえ8割だったとしても自分の力を出し切って、試合をつくるようにと考えることができるようになりました。技術的な部分というよりも、投球の考え方を大きく変えました」

─ 考え方を変える上で、何かきっかけがあったのでしょうか?

 「これまでは、100点満点の球を投げないといけないと考えるあまり、思った通りの球を投げることができず甘いコースにいくと、いとも簡単に打たれていました。そういう中で、水さん(水本勝己二軍監督)や永さん(永川勝浩二軍投手コーチ)、菊さん(菊地原毅二軍投手コーチ)から、『全ての球を低めに集めることに集中しよう』と話をしていただきました」

─ 全てに満点を求めるのではなく、『球を低めに集める』、この一点に集中して取り組もうということでしょうか?

 「そうですね。低めに球を投げることが自分の生きていく術だと考えていましたし、その言葉をスッと受け取ることができました。それを意識して練習し、二軍の試合で投げていくと、『あそこに投げれば100%の球ではなくてもゴロアウトになるんだ』と少しずつ分かってきました。それは今までにない感覚で、振り返っても成長できた部分だと思いますね」