『広島アスリートマガジン』では創刊以来、カープの選手、指導者、OBなどの数々のインタビューを収録してきた。ここでは誌面上に残された無数の言葉を振り返っていく。

今回はチームのまとめ役を担い、チーム内のコミュニケーションを活性化させた、2人の選手会長が残した言葉を辿る。

◆若手選手との架け橋となったいぶし銀

【梵英心(選手会長:2014~2015年)】
どんどん意見が飛び交う環境をつくっていきたい
(広島アスリートマガジン 2014年4月号)

東出輝裕選手に代わり、2014年に選手会長に就任した梵英心選手。2年間任務をまっとうし、一体感を生むチームづくりに貢献した。

 梵英心が選手会長に就任したのはプロ9年目の2014年シーズン。球団初のクライマックス・シリーズに出場した翌年、野村謙二郎監督が蒔いた若い種が、徐々に芽を出し始めていた時期に、地元広島出身のチームリーダーが満を持して選手会長に就任した。

「必要なことがあれば先頭に立ってやりたいなと思いますが、選手会長ってどちらかと言うと表に立つ人じゃないイメージなんですけど……」

 梵は選手会長への就任以前から、若手選手を陰で支え、時にイジり、若手の良い面をうまく引き出してきた。そして、それは若い選手が多いチームにとって良い循環を生んでいた。

「僕が入団したときもそうでしたが、若い選手が言い難いことは絶対あると思いますし、僕らが気づかないことを若い選手が気づくこともあるのでどんどん意見を言ってもらいたいですね。そういった環境はつくっていきたいと思います」

 自身がプロ生活で経験したことを糧に、チームがよくなるように舵を切った。それは、チーム内のコミュニケーションの活性化を育み、2016年からのリーグ3連覇を象徴する“一体感”の醸成につながったといっても過言ではない。

「昔よりは若い選手が動きやすい環境にはなっているかなと思います。ただ、そこはもっと上を目指していかないといけないと思うので、いい環境になっていけばいいなと思っています」

 梵はプレー面においても存在感を示すと、チーム事情に合わせてサードのポジションも経験。勝負強い打撃と進塁打でいぶし銀の活躍をみせ、攻守にわたりチームを引っ張った。