◆他球団の守護神と比べても見劣りしない四球数

―永川投手の好調の訳が少し理解できたような気がします。それにしても四球の少なさは特筆ものですね。ちょっと数字を並べてみます。昨年は1イニングあたりの四死球の数(敬遠も含む)が0.55個。ということは2回投げれば1個の四死球を与えていた訳です。今シーズンはそれが0.20個ですから5回に1つ。これは大きな変化です。ちなみに同じくストッパーを務めている投手との比較で見てみるとベイルは0.14個、クルーン(横浜)は0.18個、藤川(阪神)が0.28個、岩瀬(中日)が0.04個となっています。また永川投手は四球数の減少に伴って球数も減ってきていると思います。平均すると1イニングに要する球数は14球程度です。

「そのへんの話になるとイニング始めの第1球が大切になってきます。早く追い込みたいということはすごく頭にあるんです。初球はやっぱりストライクを取りたい気持ちが強いですね。でも、そうは言ってもやっぱりカウントを悪くすることがあるんですが、そうなるとバッターは真っ直ぐを狙って打ちにきますからね。ただ今年に限ってはそこで打ち損じてくれることが多いような気がします。そういうところが昨年までとは違う真っ直ぐの『勢い』だと思うし、それが四球が少ない原因でもあると思います。というのは僕は今年、低目に集めることを本当に強く意識してやっているのですが、そうなるとそこで内野ゴロというケースも増えてきますからね。逆に高目に行った時はバックネットへのファウルになったりしていますよね」

―それに変化球ですね。スライダーは投げていますか。

「真っ直ぐの調子が良い時だとスライダーはほとんど必要ありません。まあ、カウントに余裕がある時とか、ボールカウント1・1の時に投げてみたり、主に右打者の時ですね。ただ最近は投げていないんです」

―フォークボールは、良いところでワンバウンドして相手が振ってくれていますね。

「真っ直ぐとフォークでは握りが違いますが、それがもし落ちなかった場合にはど真ん中のストライクになるような感覚で投げています。だから真っ直ぐがただ単に風の抵抗で落ちているだけなんです。ど真ん中にストレートを投げるような感じで腕を振れば相手も振ってくれますからね。ただ、ベース上を外れてしまっては相手に見られてしまいます。

―三振を取る球はフォークもあるけどストレートもある?

「そうですね。昨年と違うところは真っ直ぐで空振り三振が取れているところなんです。これは先ほどお話したことがプラスに働いているからだと思います。僕の中ではこれも初めての感覚なのでうれしいです。ただ三振の数にはこだわっていないんです。僕としてはやっぱり2ストライクまでは低目に集めて打ってくれたらラッキーという感じで、それが理想でもあるんです。でも追い込んだら三振を狙います。その方がホームランを打たれる可能性も低い訳ですからね」