◆捕手の状況は、さらに深刻

 他球団より一足遅く交流戦をスタートさせ、選手不足が懸念されるカープだが、「捕手」の状況はさらに深刻。正捕手・會澤翼は下半身のコンディション不良で三軍におり、磯村嘉孝、石原貴規は「感染拡大防止特例」で登録抹消中だ。

 5月24日時点で一軍の捕手は中村と坂倉将吾、白濱裕太の3人のみ。二軍に至っては持丸泰輝、二俣翔一の育成2選手しかいない。交流戦はしばらく、坂倉を軸に、中村、白濱との併用プランが想定されるが、チーム状況を鑑みればスタメンマスクだけでなく、捕手以外のポジションでの出場機会も増えてくるかもしれない。

「4年目の飛躍」は決して遅くない。むしろ、高卒捕手としては早いほうだ。参考までに過去、カープで正捕手を担った主な選手が、キャリアで初めて100試合以上に出場した年齢と、プロ年数を並べてみる。

達川光男/28歳(1983年、116試合)、大卒6年目
西山秀二/26歳(1993年、110試合)、高卒8年目
石原慶幸/24歳(2003年、116試合)、大卒2年目
會澤翼/29歳(2017年、106試合)、高卒11年目

 この数字からも分かるように、「捕手」というポジションは一軍でレギュラーをつかむまでにそれなりの時間を要する。6月6日に22歳を迎えるプロ4年目の中村が今季、どれだけの出場機会を得られるかはまだ分からない。

 ただ、多くの一流選手が過去、与えられたチャンスでしっかりと結果を残し、自らの手で自分の居場所をつかみ取ってきたのは紛れもない事実だ。チームが窮地に立つ今だからこそ、チャンスを与えられる機会が中村にはある。

 それをつかみ、本当の意味で「飛躍」を遂げることができるか――。カープの未来を担う21歳の若者から、目が離せない。