交流戦を前にカープを襲ったコロナ禍。鈴木誠也をはじめ、5月23日時点で10人の選手、コーチ、スタッフが陽性判定を受け、濃厚接触者らを含め、「感染拡大防止特例」で登録を抹消された選手は実に14人にのぼる(27日に松山竜平、西川龍馬、磯村嘉孝を再登録)。

4年目で待望のプロ初安打、初打点、初スタメンをマークした中村奨成選手。

 チームは5月21日の阪神戦から予定されていた5試合を行わず、27日の西武戦からようやく試合を再開したが、しばらくは主力不在、ベストメンバーを組めない状況での戦いが続くことになりそうだ。

 ただ、窮地のチームにも一筋の光は差している。それが、プロ4年目・中村奨成の存在だ。コロナ禍で試合中止を余儀なくされる直前の5月19日にはプロ初スタメン。打っては5打数2安打2打点でプロ初打点、守っては先発・九里亜蓮をリードし、完投勝利へと導いた。

 高校3年時に出場した夏の甲子園で清原和博(PL学園高)の記録を塗り替える1大会6本塁打をマークし、一躍時の人に。同年ドラフトではカープと中日が1位で競合し、抽選の末、地元球団のカープに鳴り物入りで入団した。

 同期には村上宗隆(ヤクルト)、安田尚憲(ロッテ)、清宮幸太郎(日本ハム)らがおり、特に村上、安田の二人はすでに一軍の主軸に成長している。入団時の注目度を考えれば、プロ4年目での初スタメンを「遅い」と感じるファンもいるかもしれない。

 ただ、中村の場合はそもそもが育成に時間のかかると言われている捕手。たしかにプロ入り後は木製バットへの順応に時間がかかったり、故障でリハビリに費やす時間が長かったりと「遠回り」した印象はあるかもしれない。

 それでも、二軍で着実に試合経験を積み、3年目には一軍初出場。そして4年目の今季、飛躍のきっかけを掴みかけている。コロナ禍でチームは大ピンチだが、中村個人にとってはまたとないチャンスだ。