■チーム躍進への貢献度で見る新人王争い

◎中野拓夢
○奥川恭伸
▲佐藤輝明、伊藤将司

「数字」「印象度」ほど選考には影響しないが、その2項目で甲乙つけがたい場合に重要になるのが、「いかに、チームの躍進に貢献したか」だ。この場合は、所属するチーム自体が好成績を上げていることが条件になるため、Bクラスに終わったカープの栗林、DeNAの牧は分が悪い。

 となると必然的に終盤まで優勝を争ったヤクルト、阪神に所属する4選手が有利となる。その中でも、2位・阪神でシーズン通して遊撃レギュラーを担った中野の貢献度はピカイチ。主に1~2番を任されて持ち前の機動力を見せ、負担の大きな遊撃ポジションを最後まで守り抜いたのもプラス査定だ。

 奥川もヤクルトの優勝に大きく貢献したのは間違いないが、登板間隔をしっかり確保する起用法もあって投球回数がやや物足りない。佐藤輝は前半戦、阪神の快走劇を支えたが、前述の通りシーズン中盤以降のスランプ&二軍落ちが大きく響く形になりそう。伊藤将司も2ケタ勝利を挙げる活躍を見せたが、先発陣が軒並み好調だったため、「特筆」してチームの勝利に貢献したとは言い難い。

■総評
〜やはり、本命は栗林良吏!牧とのマッチレースか⁉〜

◎栗林良吏
○牧秀悟
▲中野拓夢

「数字」「印象度」「チームの躍進への貢献度」を総合的にみると、栗林がやや有利に思える。前半戦は佐藤輝と、後半戦は牧と熾烈な争いを展開したように、シーズン通して「新人王レース」のトップを走り続けた。クローザーに求められる「安定感」を1年間キープし続けたのはやはり大きい。とはいえ、対抗馬・牧との差はわずか。投票する記者が何を重視するかによっても、結果は大きく変わりそうだ。

 約1カ月後、「史上最もハイレベルな新人王争い」を制し、ルーキーの頂点に立つのは、果たして栗林か、牧か――。