◆「今日は勝ち運がある」と感じた運命の試合

 立ち上がりは決してスムーズではなかったが1回裏は併殺で切り抜け、2回裏も無死一・二塁と苦しんだものの、中日がバントを失敗して、カープは三重殺を完成させた。この時私は「今日は俺に勝ち運があるな」と思った。この試合では味方打線も序盤から私を援護してくれた。西田真二などがチャンスでタイムリーを打ってくれた。

 中盤から徐々に調子を上げてきた私は、8回まで中日打線を1点に抑えた。そしてカープが5-1とリードして9回裏となったが、最終回のマウンドに私は上がらず、ストッパーの大野豊さんに任せ、ベンチで200勝の瞬間を待つ事となった。

 完投で有終の美を飾りたかったという気がなかったわけではない。しかし私はこのシーズンもそれまでの9勝のうち5勝を、前年も11勝のうち6勝を大野さんのリリーフを仰いで挙げていた。だから私はいつもと同じように、大野さんを信頼して、最終回のマウンドを託したのであった。大野さんは9回裏を難なく三者凡退に片付けてゲームセット。この瞬間、私は念願だった200勝を達成したのである。

 三塁側ベンチ内で山本監督・コーチやチームメイトに祝福された後、グラウンドに出て花束を贈呈されたが、その際にスタンドの多くを占めた地元中日ファンが、私に温かい拍手をしてくれた。それは昨年4月29日に清原和博が広島市民球場のカープファンから500号本塁打達成を祝福されたような感じだった。

 私は中日には特に相性が良く、この試合まで通算48勝23敗とまさに上得意先にしていて、4年間無敗だった事もあった。しかも広島よりも敵地の名古屋の方がよく勝っていたように記憶している。

 だから中日ファンにとって私は憎っくき天敵のはずなのだが、この日ばかりは私を温かく祝福してくれた。それがとてもうれしかったのである。

(第7回へ続く)

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