◆完璧を求められるポジション。反省と修正の繰り返し

 広島の要ともいえる最終ライン。J最高峰のレベルを誇る守備陣だからこそ、プレーのなかでの難しさもあるという。

「やはり完璧を求めなければならないポジションですし、自分が突破されると広島のサッカーができなくなってしまうので、そこにはすごく課題を感じています」

 『完璧を求めなければいけない』。

 シビアなポジションでプレーするなかで、自身がピンチを招いてしまったシーンもあった。開幕の長崎戦、ACLEのジョホール戦(2月10日、◯2−1)では、一つのミスから「あわや」という場面もあった。実際に失点につながったミスもある。

「やはりスポーツなのでミスはあります。大切なのは『いかにそれを少なくするか』ということ。例えば長崎戦であれば、もっとはっきりキム ジュソン選手とコミュニケーションが取れていればあのシーンは生まれなかったと思いますし、ジョホール戦で失点につながってしまったシーンは芝の状況なども含め、もっと試合の流れを感じる必要があったと感じました。そうした経験を踏まえ、切り替えて、次の試合から改善していくようにしています」

 反省と修正を繰り返しながら、一方で、広島のDFならではの好守を見せた試合もある。2月14日、今シーズン初となる中国ダービーだ。昨季、初の中国ダービーとして開催された試合で、広島はホームに岡山を迎え0−1と敗戦を喫した。特に荒木を引きずりながら振り切り、広島のDFラインを突破したFW・ルカオのパワーとスピードは脅威だった。そのルカオを、山﨑は見事に押さえ込んでみせた。

「試合前からルカオ選手が素晴らしい選手だということはわかっていたので、あまり近づきすぎると逆に抑え込まれてこちらが何もできなくなってしまうのではないかと思っていました。真っ当に勝負をしても負けてしまうかもしれないな、と」

 圧倒的なパワーにこちらもパワーで挑んでも、分はないかもしれない。それならと、山﨑は別の打ち手でブラジリアンストライカーに立ち向かうことにした。

「逆に少しスペースを空けて、つかまれないように、どれだけ賢くプレーできるかを考えました。やはりJ1トップレベルのフィジカルの強さがあると思うので、実際にマッチアップしていても、自分のイメージと違う形になってしまったシーンもありました。なかなか自分のペースをつかめませんでしたし、正解がわからなくて、『どう行けば良かったのかな』と迷う瞬間もありました。それを試合の中で改善できなかったことは、すごく反省点だと捉えています」

 思う通りにはいかなかった。ただ『失点しなければ良い』と割り切ることで、1ー1の均衡した試合を最後まで守り切った。追加点を与えなかったことで試合はPKに突入し、広島は激闘を制し勝点2をつかみ取った。

「(対ルカオの)正解、見つけたいですね(笑)。試合中もずっと考えながらプレーしていたのですが、やはり強引に行って入れ替わってしまって自分のスペースを空けてしまうのが一番の失敗だと思っていました。だから、それだけはさせないようにしようと。『失点をしなければ良い』と割り切って、ある程度自由にプレーさせて……いろいろ考えています」

 「正解がわからない」と口にしながら、その表情はどこか楽しそうだ。試行錯誤を重ねながら、山﨑は試合のなかで着実に進化を続けてきた。初の開幕戦スタメンに加え、ここまでプロ初の全試合出場。そんな『初』づくしの2026シーズン、山﨑は2月22日のC大阪戦(ヨドコウ、◯2−1)で新たなポジションに抜擢される。

(第2回へ続く)