2018年にキャリアハイの成績を残し、リーグ3連覇に貢献した大瀬良大地投手。以降、カープのエースとして投手陣を牽引している。

◆カープのエース道を受け継ぐ背番号14

【大瀬良大地 (2014年-)】
マエケンさんと黒田さんから学んだことを、僕の経験も交えながら、若い選手に伝えていきたい
(広島アスリートマガジン 2020年6月号)

 現在のカープのエースは?と聞かれると、多くの方が「大瀬良大地」と答えるだろう。2年連続で開幕投手に抜擢され、今季からは投手キャプテンに任命されるなど、佐々岡真司監督の信頼も厚く、精神的支柱としてもカープ投手陣を牽引している。

 周囲から大瀬良がエースと呼ばれるようになったのはリーグ3連覇を果たした2018年。この年、自己最多の15勝で最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。キャリアハイの成績を残し、投手として大きく飛躍した。

「1年間なんとか先発ローテーションを守ることができて、数字もついてきてくれたことでポストシーズンは“先発1番手”という形で投げさせていただけた。やはりそういうところを目指していましたし、意気に感じてなんとか結果を残したいと思ってマウンドに立っていました」

 2019年にはプロ入り初の開幕投手に任命されると、両リーグトップの6完投を記録し、3年連続となる2桁勝利を達成した。「いつかはエースと呼ばれるような存在になりたい。そういう意味では2019年はすごく大事な一年になると思い、シーズンに臨みました」

 大瀬良は、2014年のプロ入り直後から当時のエース・前田健太の背中を追い続け、2015年には、かつてのエースである黒田博樹と2年間プレーするなど、球界を代表する2人の投手からさまざまな影響を受けてきた。

 いまの大瀬良は2人の姿を思い返しながら、若手投手と接している。

「年齢的にも投手陣を引っ張っていかなければならない立ち位置になってきているので、そこはグイグイやっていきたい部分です。僕がきっちりとした態度を示すことで『大瀬良さんがあれだけやっているのだから・・』と何かを感じてくれる選手もいると思うんです。そういう雰囲気づくりを心がけています。また、『この場面であれば、マエケンさんならこういう風に思うだろうな。黒田さんならこういう風に考えるだろうな』と、現在の立場だからこそ思い出すことはあります。お2人から学んできたことを踏まえて、僕が上に立って感じることをミックスさせながら、良い形で若い選手に伝えていければと思っています」

 エースと呼ばれる以上、その姿は若手投手にとっての模範でなければならない。ここ数年、若手投手を引っ張る言動が目立つようになったのも、エースとしての自覚だろう。偉大なエースが引き継いできた“カープのエース”のDNAを託された大瀬良は、次代にバトンをつなぐその日まで、姿勢と結果で、チームを牽引していく。