コロナ禍で揺れるなか、J1リーグの開幕戦が目前に迫ってきた。ここでは、さらなる飛躍が期待されるサンフレ戦士を編集部目線で紹介していく。

2月6日に行われた古巣・松本山雅とのトレーニングマッチで2得点を奪った永井龍選手。チームも8対1で大勝した。

 決定力不足が課題のサンフレッチェにあって昨季、松本山雅から完全移籍加入した永井龍にかかる期待は大きい。同じFWのポジションでジュニオール・サントスが新加入したとはいえ、過密日程となる今季も選手層の厚さは絶対条件となる。期待の日本人FWが機能すれば、クラブの6季ぶりのタイトル獲得もかなり現実味を帯びてくる。

「守備面は理解してもらえたと思うので(今季は)目に見える結果で、永井が出たからチームが活性化したと言われるくらいのものを残したいです」

 永井のストロングポイントは、ボールを持っていないときの動き出しだ。昨季は緊急事態宣言による全体練習の中断で、パスの出し手との意思疎通を図る機会が限られた。しかし、その中でも練習試合でゴールを量産し、城福浩監督の信頼を勝ち取っていった。

「練習試合で点を取っていたからこそ監督も起用してくれたと思います。その中で点が取れなかったこと、自分の良さを出せなかったことは悔しい部分です。ただ開幕からベンチに入っていたとはいえ試合には出場できなかったので、(7月12日の)鳥栖戦から一歩踏み出せたのは自分の中で大きかったですね」

 永井の持ち味が発揮されたのが、2度目の鳥栖戦(10月3日)だ。この試合では両チームの中でもダントツのスプリント回数を記録。前線からの守備は城福監督が常に求めていることでもある。

「相手にボールを奪われた瞬間に自分がスイッチを入れてすぐに奪い返すという、あれが自分が理想としている守備像です。常にボールを追いかけてコースを切ってというのはすごくしんどいですけど、奪われた瞬間に奪い返す気迫というのを城福監督に求められていると思いますし、その意味では一番得意とする守備の形なので、理想としている求められ方かなと思います。ただ、FWは得点につながるプレーをするのが仕事なので、その部分で結果が出なかったのは悔しいです」

 コメントにもあるように昨季はPKの1得点のみに終わったが、自らが潰れ役になって味方のシュートシーンを生み出すなど攻撃面でもチームに貢献した。目に見えない部分で得点を生み出した永井が、今季掲げるのは「最低でも10得点」。サンフレ期待のストライカーが、より攻撃的なシステムで臨む2021年シーズンを最前線で駆け抜ける。