オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを務め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー・高島誠。この連載では、数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流・野球パフォーマンスアップの秘密を披露していく。

オリックスなどでトレーナーとして務め、現在もカープの選手のトレーナーとして活躍中のマック・高島氏(イラスト:りおた)

◆“マイナスをプラスに変える”高島流のアプローチ

 野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。『Mac高島の超野球塾』の連載をご覧いただき、ありがとうございます。

 2月1日からプロ野球12球団の春季キャンプがスタートしました。今年はコロナ禍の影響で無観客での開催になってしまいましたが、プロ野球開幕を楽しみに待っているファンの方々のためにも、怪我なくキャンプを過ごして、3月26日のプロ野球開幕を迎えてほしいと思います。

 プロ野球はもちろんのこと、高校・大学など、アマチュア選手にとっても、この1月・2月は“鍛錬の期間”となります。実戦練習が少ないこの時期に、いかに自分と向き合って課題を認識し、その課題を克服できるかが、成長曲線を描く大きなポイントとなります。

 今回のコラムでは、アマチュア選手に向けて、成長曲線が描ける人と描きにくい人の特徴を紹介します。

 結論から言うと、データ(数値)とどう向き合えるかが重要だと考えています。

 身長、体重、体脂肪をはじめ、ベンチプレス、短距離走、メディシンボールスロー、立ち幅跳びなどの多岐にわたるフィジカルデータ、投手であれば球速や回転量、打者であればスイングスピードや打球角度など、野球にはたくさんのデータが存在します。

 右肩上がりに数値が伸びればいいのですが、常に上がり続ける選手は存在しません。数値が伸びない時期、停滞する時期は必ずあるものです。

 ただ、上達が遅い人の傾向として「データはあくまでデータ。練習をしていれば数値は改善される」と思っている人が非常に多いです。

 短期間で増減する体重や筋力がまったく上がらない、まったく下がらないとなると、何かがおかしいと気付く必要がありますし、ウェイトにしても、練習を積み重ねていれば、回数や重量が増えるなどのプラスの現象が起きるはずです。それにもかかわらず、データが伸びないということは、なにかしらのマイナス因子が強いということです。

 本来ならそのマイナス因子を取り除く作業が必要なのですが、データ(数値)と向き合えない選手は、反復練習を繰り返せば大丈夫と、目の前の数値を否定する選手が多い傾向にあります。

 数値が伸びていない、結果が出ていないということも大事な結果です。

 投げ込みや振り込みを否定しているわけではありません。猛練習をこなすことで、プロ野球選手になった人も数多くいます。ただ結果が出ないのであれば何かを変えないといけません。