昨季プロ11年目にして、再び強烈な存在感を見せた堂林翔太。大躍進を遂げた背番号7は今季も活躍できるのか!?  J SPORTSの解説などでお馴染みのOB・笘篠賢治氏にキャンプ総括と共に語ってもらった。

今季も主軸として期待がかかる堂林翔太選手。

◆キャンプでは若手の大きな成長を感じた

 まずキャンプを総括すると、MVPに選ばれた羽月隆太郎を筆頭に、昨季一軍デビューした若い選手たちがものすごく成長していると感じました。しっかりと一軍での経験を踏まえて、自分のやるべきことに取り組み、実戦で使いたいと思わせるようなレベルに持っていくことができていました。

 中でも、前回お話した野間峻祥と同様に足を武器にしている大盛穂は面白い存在になってきました。今年は河田コーチがまた戻ってきて、機動力の意識改革がされているだけに、大盛も一軍に欠かせない存在になってくるでしょう。ロッテとの練習試合での走塁死の教訓が生きて、リードのとり方も変わりましたからね。

 捕手でも中村奨成や、石原貴規もしっかりとアピールできていました。まだリードという部分では経験不足が否めませんが、伸びしろという部分はまだまだ秘めているだけに非常に楽しみな存在となってきました。

 そして上位を目指すために欠かせないレギュラー陣もちゃんと存在感を発揮していました。田中広輔と菊池涼介というレギュラーシーズンで上位打線を担うであろう二人は非常に良い調整ができていると思いました。鈴木誠也も打撃フォームを変え、いろいろと試している中で、実戦で結果を残せていますし、すごく充実したキャンプを送れたのかなと思います。

 そして今季さらに期待したいのがなんといっても、堂林翔太。彼つかみましたね。チームの戦力として外せない存在になってくれました。打撃の内容を見ても、見逃し方を見てみても、打ってるところを見ても、ひとまわり成長した印象を受けました。助っ人のクロンがここからどれくらい状態を上げるかというのは、未知数な部分なので、堂林があれだけのプレーを見せてくれているというのはとても心強いですよね。本当に立派になったと思います。

 遠回りと言われたらそうかもしれないですが、やっぱりいろいろなことを試した結果の遠回りというのは決して悪いことではないんですよね。その経験があったからこそ、今があると思うんです。どんな時もコーチ陣もしっかり考えて指導して、選手も悩んで、その中で感覚をものにできるかどうかなんですから。

 まだ守備という部分では不安定さがありますが、打撃への影響は少ないと思います。今は守備と打撃は別物という考えを持ってやれているはずです。送球は多少精神的な部分も影響してきますが、「試合に使ってもらっている以上、グラウンドに立たせてもらっている以上、誠意あるプレーをしよう」という気持ちでやってくれればいいんです。ミスをしてもバットで取り返せば良いのですから。

 昨年と比べると心にもだいぶ余裕は出てきたのかなと思います。一打席で結果が出なかったら下げられる、といった気持ちが昨年はまだあったと思うんです。ただ、どんなに良い打者でも投手に良いところを攻められたら、そう簡単には打てませんよ。数ある打撃の中では“これは投手にやられたな……”と諦めのつくときももちろんあります。打席内で余裕が見えるようになったので、今年も安定した成績を残せるのではないでしょうか。

 チーム状況によっては打順を上位に上げても良いと思います。打線を組む上ではなるべくジグザグが理想ではあるんですが、相手投手が左の場合は三番に置いても面白いと思います。一発で仕留める能力も高くなってきているので、ここぞという場面でも打ってくれるはずです。今季も大いに期待しましょう。