フランスアの故障離脱(右膝手術)により、今季のカープの新守護神と目されているのがドラフト1位右腕の栗林良吏だ。入団と同時に受け継いだ背番号『20』は、かつて絶対的な守護神としてカープを支えた永川勝浩が背負っていたもの。はたして球団歴代1位のセーブ数を誇るかつてのクローザーの思いも胸に、即戦力右腕が最終回のマウンドに上がることになるのだろうか。ここではプロ4年目で守護神としての地位を固めつつあった、2006年当時の永川勝浩の懐かしい声をお届けする。
(『広島アスリートマガジン』2006年8月号)

現役時代は歴代12位となる165セーブを記録した永川勝浩投手。今季からカープの一軍投手コーチを務めている。

◆やっぱりマウンドに立つのは怖いものです

― クローザーはプレッシャーがかかる仕事です。それにしても今年のブルペンはみんな良い仕事をしていますよね。チームは5年ぶりに防御率3点台で折り返し。リリーフ陣でも林(昌樹)投手と永川投手が1点台の防御率をキープしています。永川投手も気合い十分で出番を待っているのだと思います。

「そうですね(笑)。最近は8回にピッチャーがマウンドに向かった時点で、8回の救援もあるつもりで肩をつくっています。最初はセットアッパーだったので8回にきっちり行く感じでしたが、最近はみんな疲れもあるだろうし互いにカバーしていかなければいけないので準備はしっかりしています」

― ブルペンの雰囲気はどうですか?

「今年は投手陣全体に防御率を3点台前半に下げようという目標がありますから活気がありますね。防御率については開幕にあたって黒田(博樹)さんが『3点台前半』をはっきりと目標に掲げられましたからね。そういう意味ではみんなで協力し合って頑張らないといけませんよね」

― そろそろ永川投手もみんなを引っ張っていく年齢になりました。精神的にもタフなものが求められますね。

「回りを見て声はなるべくかけるようにしています。でもまだまだ自分のことをしっかりやっていかないと……。やっぱりマウンドに立つのは怖いものです。完璧な人間ではありませんからね。もしやられたら、という思いも少しはありますし、リードを守らないといけない、という怖さもあります。『そういうことは考えるな』とマーティー(・ブラウン監督)は言うんですけど、そういう怖さも自分の中に持ちながら自分の中にすごく気合いを入れて出て行くつもりではいます。逆に開き直ることも大事ですし、やっぱり抑えは気持ちなんで、気持ちを強く持って投げていきたいです」