◆何かあったとしても高校時代を振り返れば頑張れる

― 投手として自信がつき始めたのはいつ頃ですか?

「高校1年の秋の大会で、先輩たちの世代だったので無責任な投球はできないというプレッシャーと、楽しみな気持ちがあって、それが良い感じに自分のモチベーションになっていたと思います。その大会が投手として大きく成長したなと思いますね」

― 高校2年の3月に股関節剥離骨折をされていますが、思い当たる要因はありますか?

「センバツの開会式1週間前に大阪入りして、開会式リハーサルの前日にやってしまったんです。寒かったのに、明日は全国の球児たちが見られるという興奮状態で、はしゃいじゃって油断しました。準備不足でアップもしっかりせず、ダッシュとかして結果的にそういう大ケガになりました。それも良い経験になりましたし、準備はすごく大事だと実感しました。

― それでも投げ続けていたわけですが、痛みはありましたよね?

「ありました。でも不思議と甲子園のマウンドで投げているときはアドレナリンが出ているからか、痛くなかったんです。投げ終わってベンチに戻るときはすごく痛くて、バッティングも痛くて全くバットが振れなくて……でもピッチングのときは痛くなかったんです。甲子園にいたときはまだ骨折と分からなかったんですが、もう足も上がらないし、ちょっとヤバいなって思っていましたね。試合前のアップもできなくて監督に本当に投げられるのかって聞かれたけど、甲子園なんで『大丈夫です』って答えました。そう言ったもののブルペンでも全然投げなかったんです。それが甲子園のマウンドに上がったら不思議と投げられました。もし投げていなかったら骨折までいっていなかったかもしれませんが、良い経験になったので悔いはないですね」

―― 高校3年間はどんな日々でした?

「ケガもして挫折もして、いろいろな経験ができたので、これからの野球人生の原点になるものでした。辛い思いもしたけど、先輩に甲子園も連れていってもらって楽しい思いもしたし、いろんな経験ができたので、これから何かあったとしても、高校時代を振り返れば頑張れると思います」(続く)