3月17日に行われたヤクルトとのオープン戦で、中村祐太が4回2安打無失点の好投を見せた。2013年にドラフト5位指名を受け、唯一の高卒ルーキーとして入団してから今年で8年目。紆余曲折を経た本格派右腕が、着実に結果を残すことで自身初の開幕ローテーション入りを確実なものにしようとしている。ここでは早くから将来を嘱望された中村の、プロ1年目の声を2回にわたって振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2014年7月号)

大瀬良大地投手、九里亜蓮投手らと一緒に、2014年1月9日に大野寮に入寮した中村祐太投手。

◆高校では1年の夏までポジションは外野

― 中村祐投手と野球との出会いを教えてください。

「僕が小学1年で兄が小学2年のときに、友だちとか先輩たちがみんなそのチームに入っていたんです。一回見に来いよって誘われて、兄が見に行きたいと言い出したので、僕も一緒に行って、兄が入るって言ったんで僕も入りました」

― 当時、憧れていた選手やチームはありますか?

「小学校のときは遊んだ記憶ばかりで、野球を見た記憶がないですね。でも松坂大輔投手(現西武)は好きだったかもしれないです(笑)」

― どんなことをして遊んでいたんですか?

「カードゲームとか、モンハン、後はウイイレですね。外だとサッカーや野球、ドロケイなど普通の遊びですね」

― 投手を本格的にやり始めたのはいつですか?

「高校からです。中学時代は外野だったんです。チームにもう一人すごく良い投手がいて、僕がフォームを崩してうまく球が投げられなくなったあと、もう一人の投手がエースになって。僕はバッティングが好きだったのもあって、外野に回るようになりました」

― フォームを崩した要因はなんだったのですか?

「コーチにこういう風に投げろと言われて、僕自身納得していない部分があったのに、言われた通りにしたら投げられなくなってきて、崩れたのかなと思います」

― 高校時代は投手でしたが、中学時代から投手への思いは強かったのでしょうか?

「高校では1年の夏まで外野でした。中学は僕自身もコントロールが定まらないことに納得いかなくて、悔しかったんです。でも、チームからは外野を任されていたので、まずはそこの仕事はしっかりやろうと思いました。僕は投手でやっていきたかったので、中学3年の夏が終わってから、前田健太さん(ツインズ)、ダルビッシュさん(パドレス)、松坂さん、斉藤和巳(元ソフトバンク)さんなどの、すごい投手の動画を見ました」

― 動画をみて、一番自分にマッチした投手はいましたか?

「基本的にみんなの真似をして投げていたんですけど、結構全部しっくりきちゃって。その中でも、一番ハマったのはマエケンさんでした。リラックスした状態で投げていて、それを意識しているうちに制球も定まるようになり、フォームも安定してきたんです」

― 動画を見ること以外は何かしましたか?

「本を読みました。ジャンルを問わずいろいろな本を読むようになりました。中学の監督に本を読めと言われた意図は分かりません(笑)。でもそれから僕自身、本を読むのが好きになって、今も良い本があったら買って読んでいます」