◆新たな自分をまた一つ見つけられた

― 優勝会見のときも「苦しかった」という発言をされていましたが、プレーが制約されるという苦しさなのですか?

「役割に徹することは毎年やってきたことですが、今季に関しては根本的に違うプレースタイルを要求されることが多くありました。僕は基本的に初球から積極的にいくタイプでしたが、状況によって“投手に球数を投げさせなければならない”という時や、右方向への打撃を要求される場面もありました。さらに、打席での盗塁待ち、盗塁の後でのサイン待ちなど、これまでになかった難しい部分もあったので、“苦しかった”という表現になったと思います」

― その苦しさを乗り越えて、結果を残された訳ですが、プレーヤーとして成長したという感覚はありますか?

「新たな自分をまた一つ見つけられたという意味では、レベルアップできたかなという思いですね」

― 今季チームは快調な戦いぶりでしたが、その中でどんな想いでプレーしていましたか?

「僕の中ではずっと苦しかったですね。夏場もそうですが、どの試合でも『なんとかしなければいけない』という思いがありました。そういう意味では、最後の最後まで気が抜けないし、自分の仕事を全うしなければいけないという中で、新しい自分のスタイルでやってきたこともあったので、ずっと苦しかったと思います。もちろん、その苦しみの中でも右打ちができるようになり、打率も残って良かったと思います」

― 打撃では181安打を記録し、初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得しました。

「タイトルが獲れたということは、うれしく思います。たまたまといったら変ですが、ランナーを進めようという思いから、ポテンヒットになったり、一、二塁間を打球が抜けたり、ということが多くて、そこに救われたのだと思います。打率を残そう、ヒットを打とうという気持ちよりも、後ろにつなごうということしか考えていませんでした。その積み重ねの結果だと思います」